ワーママになってから、頭を下げたり、自分はダメだと思ったりして、心が消耗することが増えていませんか。お迎えが遅くて、週末のお出かけも近所の公園止まりで、子どもに「ごめんね」。子どもの病気で仕事を休み、職場にも「申し訳ない」。パワフルなワーママのキラキラした両立ライフに、自分はダメだとモヤモヤ。こんなことがあると、仕事への自信がなくなって、子どもや夫にきつく当たり、さらに自己肯定感もダウンしてしまいます。「しなければいけないことは山ほどあるのに、モチベーションが上がらない」という声もよく耳にします。そんな「ワーママの憂鬱」との上手な付き合い方や、持つべきマインドセット、すぐにできるメンタルの回復法、モチベーションの上げ方を探っていきます。

働くママが「~しなければ」に縛られやすいのはなぜ?

 頑張るママたちは仕事でも育児でも「~しなければ」という義務感にとらわれやすくなっています。例えば、こんなふうに思うことはありませんか?

【育児で】
・子どもは午後9時に寝かせなければ!
→でも、時間に追われてつい怒鳴ってしまった。もう、イライラする!

・休日は充実した体験を子どもにさせねば!
→親は疲れているから、本当はゴロゴロしたい。でも子どもに罪悪感を持ってしまう

【仕事で】
・子どもが病気のときに休んで迷惑をかける分、効率的に仕事をして成果を出さなければ
→理想通りにできなくて自己肯定感がだだ下がり

・あのパワフルママのように完璧に両立しなければ
→ギリギリまで頑張っても同じようにできない。ダメな自分に自己嫌悪

 働くママたちはなぜ、「~しなければ」に縛られているのでしょうか。自分を解放するにはどうしたらよいのでしょう。義務感からメンタルが不調になり、憂鬱な気分から抜け出せない状態になったとき、自分でできることはあるのでしょうか? 産業医・精神科医として、働くママたちのメンタルヘルスを支えている井上智介さんに話を聞きました。


 日本の社会で育ってきたママたちは、「人に迷惑をかけない」ことが美徳だと、幼い頃から言われたり、感じさせられたりしてきています。「育児と仕事を両立していく上でも、会社に迷惑をかけてはいけないと思い、仕事面での『~しなければ』が生まれているのでは」と、井上さんは指摘します。

 また、今のネット社会では、本当は正解ではなくても「これが正解だ」という情報に簡単にアクセスできるようになりました。買い物や外食での「失敗」を避けるために人気ランキング、口コミを参考にする人も多いでしょう。

 「育児に関しても『よい親の姿』『こうすれば優秀に育つ』といった情報が出回っています。もともとネットや本で正解を探してきた人は、育児に関しても同じ行動をしがちです。その結果、人の『正解』に左右されて、その通りにしなければというプレッシャーを感じてしまいます

 SNSなどのメディアを通して他人と自分との比較がしやすくなったのも、働くママたちが落ち込みやすい原因の1つです。SNSに登場するキラキラ、ニコニコしている働くママたち。それはうまくできている部分を切り取っていることが大半です。しんどくてヘトヘトな面は、誰だって見せたくありません。しかし働くママたちはそのまぶしさに目がくらみ、自分のできていないことばかりが気になって、自らを『~しなければ』で縛ってしまうのです」

 井上さんは働くママから「仕事ができない人と思われたくない」と相談されることも多いと言います。

 「子どもの病気で休んだり、急に帰らざるを得なくなったりすることが多いため、仕事の能力までイマイチと思われたら、存在価値がなくなってしまうと思っているようです。自分が帰宅した瞬間から、悪口を言われているのではないかと思っている人もいました。そういう考え方になると、何かあったときに職場でSOSを出しにくくなる。一人で抱えていると、仕事はうまく回らなくなり、さらに悪い方向に行ってしまう恐れがあります

 働くママたちは理想が高く自分に厳しい面があります。「私はまだ大丈夫。もっと頑張って認めてもらわなければ」と我慢し過ぎることにはどんな危険があるのでしょうか。

【「~しなければ」との付き合い方】

●「~しなければ」を「●●●●●●●●●」に置き換える
●●●●●に目を向ける
●自分に「●●●」を押す
●向こう1~2年の●●●●●●●●●●●●●を書き出す
●●●●●●●●ママと、意識して●●をする