ウィズコロナの暮らしになり、親がリビングで仕事をする横で、子どもが学んだり遊んだりすることは当たり前の風景になりました。休日を家で過ごすことも多くなってきました。家族が一緒に過ごす時間が長くなった今、子どもが育つ空間の在り方も変わってきているはずです。これからのリビングづくりのノウハウ30選を紹介します。子どもの自立心や没頭力、学力を育むヒントも満載です。

住まいに求める要素に変化が

 リモートワークが広がり、家にいる時間がぐんと増えた共働き家族は今、住まいに対してどう感じているのでしょうか。家づくりやリフォームについてのコンサルティングを行うリビングデザインセンターOZONEの藤原 忍さんと渡邉理恵さんに、コロナ以降、家づくりの要望に変化があったかを聞きました。

 藤原さんは「リモートワークの人から、仕事をしている横に子どもがいるのは一時的なことならいいけれど、期間が長くなるとつらい、という声を聞いています。家族がオンライン会議をしているときは、テレビを見たり、音の出ることはしづらいという相談も」と話します。「これまでもリビングの一角に仕事用のカウンターをつくるなどの事例はありましたが、オンライン会議をするには使いにくかったという声もあります」

 また、新型コロナによる外出自粛以降、「家の中の長年気になっていたところをなんとかしたい」「ベランダを洗濯物干しだけでなく、外の空気を味わえる場所にしたい」「まとめ買いをするようになったのでストックを置く場所がほしい」という新たな要望が加わりました。「家にいる時間が長くなったことから、住まいを便利に快適にしたいという思いが強くなっているのでしょう」(渡邉さん)。ウィズコロナの暮らしで、住まいに求める要素は変わってきているようです

リビングは子どもが自ら育つ場所。そこで必要なテリトリーとは?

 6月に「STAY HOME わが家を幸せにする5つのTIPS」を発表し、ライフスタイルの急激な変化に対応するヒントを提供した積水ハウス住生活研究所長の河崎由美子さんは、「これまで積み重ねてきた研究が、コロナの影響で求められている住まいの要素と一致したのを感じています」と話します。

 リモートワークや、家族で家事を共有する工夫、子どもの成長に対応できる間取りなどを研究・提案してきた河崎さんは「家の中でも特に長い時間を過ごすリビングを『親が子どもを育てる』のではなく、『子どもが自ら育つ』空間として捉えてみては」と提案します。「親の役割は子どもが主体的に育つ手助けをすること。そこで大切なのが、赤ちゃん時代から子どもの『テリトリー』をつくってあげることです」

 リビングは家族みんなの場所のはず。そこに子どものテリトリーをつくるとはどういうことなのでしょうか。次ページから詳しく聞いていきます。