テリトリーが広がってもつながりは感じられるように

 コロナ禍では大人でさえ不安になることが多く、一緒にいる時間が長いため、子どもに不安が伝わりやすくなっています。そこで大切なのが親子のつながりを感じられることです。「リビングにワークスペースがあれば、親の仕事中も、子どもは一緒の空間にいることで、つながりを感じられます。高学年になり物理的に親から離れていく年ごろの子も、親とつながっていたいという気持ちはあります。親はつながりが希薄にならないように気をつけましょう」

 親がいるリビングやその周辺に子どもの居場所になりそうな場所をたくさんつくるとよいそうです。「リビングの片隅にワーキングテーブルとデスクライトを置けば、そこで勉強を始めるかもしれませんし、壁に沿ってベンチを置けば本を読み始めるかもしれません。階段の途中やキッチンカウンターなど、親が思いもしないところを選ぶ可能性もあります。大切なのは、子どもが居心地のいい場所を選べるようにすることです」

イライラ対策には、ディスタンスを確保する模様替えを

 親子でずっと一緒にリビングにいるとイライラしてしまうことがある、という親の声も聞きます。そんなときはどうしたらよいのでしょうか。河崎さんは「家具の配置を変えることで、同じ部屋にいる人と距離感を取った居場所が作れます。壁際や窓際に他の人から2mくらい距離を置くとよいでしょう」と提案します。人は座る所があると自分の居場所があると感じることができます。そこが他の人から2m離れていると、自分だけの居場所という感覚が持てるそうです。「実際には、親も子もリビングにいるので、お互いに安心感もあります」

 リビングのローテーブルを片付けるのもおすすめです。「そうすることで、一人掛けの椅子を2mずつ離して置くスペースが作り出せます。ローテーブルの代わりには、マグカップが置けるくらいの小さなテーブルをいくつか用意しましょう。それを椅子の近くにポン、ポンと置くと、心地よい居場所が複数できて、家族みんなが思い思いにくつろげます」