共働き生活では、願わくば良きチームメイトでありたい夫婦。でも、夫婦喧嘩をしたとき、チームがうまく機能しないとき、ワンオペで疲れたときなど、「離婚」の言葉が脳裏によぎったことがあるかもしれません。「離婚をする」と決めていても、一番心を砕くのはやはり「子どもへのダメージ」でしょう。離婚の経験者たちに、離婚の現実や離婚後も子どもの生活を変えないための方法について語ってもらいます。また、専門家を取材し、離婚の際にすぐに必要となるお金や長期的に必要なお金、離婚以外の選択肢として夫婦関係を再構築するために知っておきたい心構えや方法も紹介します。

 新婚当初のようなラブラブ感はないけれど、相手への愛情はある。小さな不満はあるけれど、離婚を考えるほどの大きなケンカはめったにない。波風がなく落ち着いた、凪(なぎ)のような結婚生活は一見問題がなさそうです。でも……? 夫婦関係に詳しい離婚カウンセラーの高草木陽光(たかくさぎ・はるみ)さんに、「まさに私、凪婚です!」という記者が直撃しました。

日経DUAL編集部(以下、――) 読者アンケートによれば、結婚している人のうち、凪婚生活を送る人が約4割と、最も多数を占めました(特集第1回の記事)。実は、わが家も凪婚なんです。結婚7年目で、新婚当初のようなラブラブ感はないけれど、なんとなく、このままでいいかな~って。

高草木陽光さん(以下、敬称略) 確かに、波風の立たない状況は心地いいですよね。ですが、自分がその状況に満足していても、相手が満足しているとは限りませんよ。

―― えっ、どういうことですか?

高草木 読者アンケートで「凪の状態をどうしたいか」と聞いた質問を見ると、「凪の状態を継続したい」と答えた人は33.2%にとどまっています。一方で、「暴風雨にしたい(離婚・別居)」が14.6%、「順風満帆にしたい(夫婦愛が復活)」が27.1%でした。この2つの回答を合わせると、40%を超えます。つまり、これだけの人が凪の継続を望んでおらず、何らかの不満を持っていると考えられます。

―― 確かに。凪が心地いいと思っていたのは、私だけ? 相手の不満に気づかない場合、どんな事態を招いてしまうんでしょうか。

高草木 夫婦それぞれに、はまりやすい落とし穴があるので注意が必要ですよ。それは……

 凪婚の落とし穴には、どんなものがあるのでしょうか。そして夫婦愛を再燃させるコツとは? 次ページから詳しく紹介します!