男性時短取得者ならではの悩みも複雑

 まだ数は少ないものの、男性時短取得者ならではの悩みも印象的です。

【男性の時短勤務の悩みや不安】

男性で短時間勤務をしている人が、職場におらず、全てにおいて悩みと不安がある。(一般事務、正社員男性、子どもは〈以下同〉年少)

■上司は多少配慮してくれているが、時短だからといって仕事量が各段に減るわけでもなく、評価は普通にしてもらってはいるが、昇進の機会は先延ばしになっているから。(研究・開発、正社員男性、年中と小2)

■私が不在の時間帯は誰かが必ず出勤しないといけないので、私が不在の時間帯で、かつ他の課員の休み希望がかぶったときは調整が必要で、ギスギスすることがある。時短だと責任ある業務が任せられないと思われるのが嫌なので、担当が決まっていない新たな仕事は積極的に受ける。時短を取っているから、他の日に休暇を取るのをためらう。常に時間に追われているような気がして、心が休まらない。男性で利用していると、賞賛されて居心地が悪い。(企画・調査・マーケティング、公務員男性、年中と小3)

家庭と仕事の比率を決められない……

 また、時短勤務終了後の働き方について「家事と仕事の比率を決められない」「子どもを最優先にしたいのは変わらないのでバランスを取るのが難しい」など、キャリアのイメージがうまく描けないという声も上がりました。

 時短勤務は子育て世代にとって、大切な制度です。でも、収入が減ってしまったり、評価につながらなかったり、フルタイムに復帰してからのバランスが取れるかどうか不安になったりしてしまうのも事実です。

 では、時短ママたちはこの「キャリア迷路」をどうしたら抜けられるのでしょうか。

 次回からは専門家に意見を求めながら、時短勤務しながらのキャリアアップ法や収入面の注意点など、さまざまな視点で「キャリア迷路脱出法」を探っていきます。

※「『時短』取得と継続、終了に伴うキャリアの悩みアンケート」は2019年8月1~18日に実施。内訳は女性が334人(96.8%)、男性が11人(3.2%)。就業形態は正社員が89.3%、公務員が4.1%、契約社員が2%、パート・アルバイトが1.7%、派遣社員が1.2%、フリーランスが0.3%、自営業が0.3%、求職中が1.2%。うち時短勤務中が61.6%、時短経験者が28.5%、時短未経験者が7.9%(下左グラフ)。下右のグラフは、時短勤務者(または時短勤務経験者)に「いつまで時短を取得したか(する予定か)」について聞いた結果。

取材・文/山田真弓(日経DUAL編集部) 写真/PIXTA