物価上昇が続く中、気になるのが家計防衛。近年、1つの企業などに勤めるのではなく、複数の仕事を手掛ける「副業」が広がりを見せています。しかし、子育て中の共働き家庭は、すでに子育てと本業で手いっぱい。子どもの教育費など将来の不安を抱えつつも、副業は難しいと感じている人は多いのではないでしょうか。副業に取り組む意義やメリットとデメリット、注意すべき点などを専門家や副業に挑戦してきたママ・パパの体験談を通して考えていきます。

 日本オラクルに勤める傍ら、副業として女性のデジタル人材を官民のプロジェクトに参画させるなどしてオープンイノベーションを後押しする自身の会社、incri(インクリ)の代表取締役CEOを務めている鬼澤美穂さん。前編では、本業や家事・育児と副業をどのようにやり繰りしているかを中心に紹介しました。

経営者として副業に取り組む日本オラクルの鬼澤美穂さん
経営者として副業に取り組む日本オラクルの鬼澤美穂さん

 ただ、うまく副業の時間を確保できたとしても、経営者として企業を動かしていくには、会社全体の業務に目配りをしなければならず、副業のために確保した時間内で業務が収まるとは限りません。事業に対する最終責任を負うだけでなく、スタッフを抱えている以上はマネジメント能力も問われます。そう考えると、子どもを育てながら本業の仕事をし、さらに副業で会社経営を行うことはあまりにハードルが高く、割に合わないと感じる人もいるかもしれません。

 これについて鬼澤さんは「経営者という立場に身を置くことで得られるスキルは本業にもプラスに働く」と指摘します。

この記事で分かること
・副業としての会社経営が本業の仕事にもたらす大きな効果とは
・会社経営を副業で行う、意外なメリット
・収入だけが副業の目的なら、会社経営は不向き