自分のスキルが市場のニーズと合っているか見極める

 井用さんによれば、景気の拡大期と、停滞期に求められるスキルの違いには、例えば以下のようなものがあります。

職種別・求められるスキルの違い(※一例)

拡大期

停滞期

採用担当なら…

必要コストを投下し、さまざまな手段を用いて大量採用ができる

限られた予算内で効率的に対象人材を採用できる

営業なら…

一定の量をこなしながら売り上げを拡大できる

顧客を絞り込みながら戦略的に、狙った数字を達成できる

財務なら…

適切な投資判断を行なう

資金繰りや資金調達の動きができる


 転職する・しないにかかわらず、「ウィズコロナ時代に必要な能力は何かを理解し、そこをきちんと伸ばせる人は、企業から必要とされる人材になれるでしょう。自分のスキルが企業や市場のニーズに合っているかを見極めて、足りない部分を補っていくという『戦略』が、これからは欠かせません」と、井用さんは言います。

 景況感は厳しくなっていますが、見方を変えれば、今はスキルアップのための好機とも言えます。

 リモートワークを続けている人にとっては通勤時間がなくなった分、その時間を勉強などに充てることも可能になりました。なかでもオンラインを活用した学習サービスは活況をみせており、国内外の大学の講義を無料で視聴できるJMOOC(日本オープンオンライン教育推進協議会)は、「緊急事態宣言が出された4月はアクセス数が前年同期比4.3倍に上り、今もアクセスの多い状態が続いている」(JMOOC事務局長栗山健さん)と言います。

オンラインを活用すれば学び直しにもチャレンジしやすい。画像はイメージ
オンラインを活用すれば学び直しにもチャレンジしやすい。画像はイメージ

 「新たなスキルを身に付けることは、よく『自分につけるタグを増やす』などと表現されますが、学びによってタグを増やすことで、今後の変化にも対応しやすくなります」(井用さん)。

 スキルを武器にすることで、副業などの新たな働き方に挑戦できる可能性もあります

 今年に入ってヤフーやライオンといった大企業が、副業人材の受け入れを発表。また、自分のスキルをオンライン上で売り買いできる「スキルシェア」のマッチングサービスも増えており、オンラインを活用すれば、自宅にいながら複数の企業・相手から仕事を請け負って働くことができたり、副収入を得たりできる時代になってきました。

 視野を広げて一歩踏み出すことで、副業やパラレルキャリア、転職、独立など、新たな可能性の芽を育てることにもなるのです。

 現状にとどまるのではなく、自分の可能性を広げたい――。いち早く、動き始めている人たちがいます。