共働き子育て中で毎日バタバタ。日々必死に生活を回しているのに、仕事は思うように進まないし、子どもに関しては心配ごとが山積み。いったい自分はどこに向かっているのだろう。こんなに余裕がない日々の中で、わが子はちゃんと育つのだろうか――。こんな風に、ついネガティブな気持ちになり、不安感や閉塞感から抜け出せないでいるとき、共働き子育ての先輩ママやパパの言葉に救われ、出口が見つかるきっかけになるかもしれません。今回、DUALでは、各界で活躍してきた先輩親の皆さまに取材。後輩親に伝えたい「本当に大切なこと」を教えていただきました。「正解は一つではない」こと、目の前の何気ない日常こそがいとおしく、大切にすべきものだということが分かるはずです。

子育てでペースダウンしてもキャリアは回復できる

 毎日、仕事と子育てで、いっぱいいっぱい。でも、この怒濤(どとう)の日々もいつか「子離れ」という終わりを迎えます。そのときに「子どもの育て方に後悔している」「自分には何も残っていない……」とならないためには、どうしたらいいのでしょうか。

 医師であり、作家でもある奥田弘美さんは「キャリアをペースダウンさせてでも子育てをやり切る道を選びました」と言います。

 「周囲を見ると、同僚が学会で研究成果を発表したり、同じように子育て中でもベビーシッターを雇ってバリバリ働く医師がいたりして、当然焦りを感じることもありました。でも、私はせっかく子育てをする機会に恵まれたんだから、しっかり子育てを満喫したいと思っていました。また精神科医として、親子関係が原因で心の病になって苦しむ子どもたちの様々なケースを知っていたので、子どもとの時間を大切に確保したいと考えていました

 現在、長男が23歳、次男は19歳です。長男を出産して以来、今が一番仕事に比重を置いた生活をしています。そして育休中、仕事以外に目を向けたことをきっかけに、ひそかに抱いていた『作家になりたい』という夢をかなえることができました」

 「仕事に追われる毎日で、子どもとちゃんと向き合えていないのでは」と不安を感じている人もいるのではないでしょうか。奥田さんは精神科医として、「子どもを追い詰めない」ことを自身の子育ての中で心がけてきたそうです。その理由について、ご自身の子育てを振り返りながら詳しく教えてもらいました。

この記事で分かる先輩ママからの学び

・子育て中でも「自分の心の声に耳を澄ます」ことで夢はかなえることができる
・たとえ子育てでペースダウンしたとしても、細く長くでも、現場にい続けることが大事
・「夜は両親どちらか帰宅」と「追い詰めない子育て」を重視した理由は
・親子ともに健全でいることが、子離れには必要。そのために必要なことは
・キャリアの回り道や子育て経験はムダではない。少しずついろいろと経験するからこそ、自分の引き出しが増える
・50代までは「子どものための人生」、60代からは「自分のための人生」