共働き子育て中で毎日バタバタ。日々必死に生活を回しているのに、仕事は思うように進まないし、子どもに関しては心配ごとが山積み。いったい自分はどこに向かっているのだろう。こんなに余裕がない日々の中で、わが子はちゃんと育つのだろうか――。こんな風に、ついネガティブな気持ちになり、不安感や閉塞感から抜け出せないでいるとき、共働き子育ての先輩ママやパパの言葉に救われ、出口が見つかるきっかけになるかもしれません。今回、DUALでは、各界で活躍してきた先輩親の皆さまに取材。後輩親に伝えたい「本当に大切なこと」を教えていただきました。「正解は一つではない」こと、目の前の何気ない日常こそがいとおしく、大切にすべきものだということが分かるはずです。

 今から37年前の1985年、男女雇用機会均等法が制定されました。その頃に入社し、子どもを産んでからも働き続けた女性たちは、いわば共働きママという生き方におけるパイオニアといえます。専業主婦世帯が多かった時代、仕事を続けるママへの理解は今よりも圧倒的に少なく、法律や会社の制度も整っていませんでした。共働きで子育てすることは今よりもずっと難しく、葛藤も大きかったはずです。今回はそんな先輩共働きママ3人に集まってもらい、仕事や共働き子育てについて振り返ってもらいました。中学受験、子どもの反抗期、夫婦げんか、そして子どもの巣立ち……。「今だからこそ語れる」貴重な話が満載の座談会になりました。

【座談会参加者】

りえさん(仮名、60歳)
娘は現在18歳。子育て時、夕食づくりやお迎えなどは、自由業の夫が自宅近くに仕事場を移して担当。遠方に暮らす実母がサポートのために毎月新幹線で上京し、1週間ほど滞在してくれていた。

えみこさん(仮名、62歳)
娘は現在28歳。夫は子どもが高校生になるまで単身赴任。二世帯住宅で同居していた実母は育児に関わらない主義だったため、お迎えなどはベビーシッターに依頼。

あゆみさん(仮名、60歳)
息子は現在30歳、娘は24歳。夫は長女が1歳まで単身赴任、戻ってきたあとも帰宅は不規則で、実家・義実家とも遠方だったため、ベビーシッターを活用しながら乗り切ってきた。

頑張ったのは読み聞かせ。子どもは国語で苦労知らずに

―― 早速ですが、子育てを振り返って「やっておいてよかった」ということはありますか?

りえさん(以下、敬称略) 娘に本を好きになってほしいと思い、寝る前の読み聞かせは頑張っていましたね。当時は仕事が忙しく、夕食は夫や実母任せでなかなか早く帰れなかったけれど、今、聞いてみると娘は「ママがいなくて寂しいと思ったことない」と言っています。本当に短時間の日もありましたが、毎日の寝る前の読み聞かせタイムが、ママ不足を感じさせずに済んだ要因の一つかもしれません。

 小学校の間は、家に「本を買うための貯金箱」を置いてお金を入れて、そのお金で好きなときに好きな本を買っていいという仕組みにしていました。減ったら足しておくんです。

 私自身も子どもの頃、父が近所の本屋でツケで本を買えるようにしてくれていて、それがとてもうれしかったのもあり、娘にも同じことをしようと思ったんです。さすがに今どきツケのきく本屋はなかったので、貯金箱の仕組みにしたのですけれど。娘は今大学生ですが、国語が得意で、受験の際も、国語で苦労したことはありませんでした。文章を読むことが苦じゃないから他の教科の勉強にも役立ったと本人が言っています。

あゆみさん(以下、敬称略) 私も、本の読み聞かせはできるだけするようにしていましたし、大きくなってからも本は自由に与えるようにしていました。けれども小学生になった頃から、活字の本よりも漫画やゲームが好きになってしまって。特に息子は漫画がすごく好きでしたね。特に止めたりせず、自由に読ませていました。

 あまり勉強熱心な息子ではなかったのですが、国語だけはすごくよくできたので、漫画も読解力をつけるのに役に立つんだなと思いましたね。漫画ばっかり読んで、と心配する親御さんもいるかもしれませんが、十分読ませてあげてもよいかもしれません。漫画の件もそうですが、その場の自分の価値観だけで善しあしを判断せず、長期的な視点を持つことは大事かも、と思います。

えみこさん(以下、敬称略) 私の場合、「よかったこと」が後悔と表裏一体なんです。子育て真っ最中のときに後悔していたことが、今「あれは意外によかったのかも」と思えるようになったことが多々ありました。

この記事で分かる先輩ママからの学び
・お金のトラブルが発生したとき、叱らずにとるべき行動とは
・仕事マインドを子育てに持ち込むことの弊害
・中学受験で第一希望に合格を果たせずとも、その経験が子どもにとってのその後のモチベーションになることも