今、多様なジャンルで「持続可能」がキーワードになっています。ワーママの働き方でも同様です。コロナ下で在宅勤務が普及し、時短を取らなくてもフルタイムを維持しやすくなったことで、キャリアも育児も両方を追っていきたいと考えている人が増えています。一方で、仕事と家事・育児のメリハリがなくなっていると感じている人もいるでしょう。キャリアダウンはしたくない、仕事のやりがいや成長は諦めない。でも、睡眠時間や子どもとの触れ合いを犠牲にするなど、無理もしたくない……。

仕事を上手にコントロールし、長期的に仕事と育児を持続していく意識はますます必要になっていきます。この、持続可能な「エコドライブなキャリア=エコキャリ」実現のために、これからのワーママが身に付けるべき戦略をお伝えします。

リモートワーク推進の流れで「働きやすくなる」と感じる人は増加

 「仕事でやりがいや成長を感じたい、育児も自分が思い描いたレベルで関わりたい、でも無理はしないで持続的に長く働き続けたいという考えを持つ30~40代のワーママは増えている、という実感はあります」とキャリアカウンセラーの横尾有理さん。

 自身も7歳、5歳、2歳の3児を子育て中で、以前の職場では時短勤務で管理職を務めた経験もある横尾さん。現在は、オンラインキャリア相談サービス「ミートキャリア」のキャリアサポーターとして、法人顧客の育休復職者などを対象にカウンセリングをしています。

 「働き方改革など企業の施策の変化や、リモート推進の流れがある中、仕事、プライベートの両方で自分の大切にしたいことを諦めない生き方が可能ではないかと考えている人が増えている印象があります。特にコロナ下の今、自分がどんな働き方なら無理なく続けられるか、立ち止まって見直す人が多いと感じています」

 「働き方を見直す」となると、転職や独立といった選択肢もありますが、ハードルが高いと感じる人もいるでしょう。今の職場で、自身のやりがいや責任、できれば給与水準も保ちつつ、時間面・メンタル面で無理をしない働き方を模索することはできるのでしょうか。

 例えば、会社から過度な期待をされ、それに応えようと必死に努力し、心身ともに無理をして疲弊してしまうケースは少なくありません。会社からの期待が自分の現状と合わないことに悩み、このままでは働くことを持続できない、働き方を見直したいと考えている人もいるでしょう。

 持続可能な働き方を実現するためには、まず、一人ひとりが自分の大切にしたいことや現状の働き方についてしっかり整理し、「上手に」「明確に」上司や会社側に伝える必要があります。それができれば、個人にとってはもちろん、組織全体にとってもメリットが大きい、と横尾さんは指摘します。

 「組織として、社員一人ひとりの状況を把握して早めに手を打つことができれば、無理な働き方や、やりがいを見いだせない、といった理由による離職を防ぐこともできるでしょう。人材の採用にはコストと労力がかかりますので、人材確保の面から企業にとってもメリットがあります。持続可能な働き方を実現させることは、個人、企業の双方にとって意味のあることです」

 「会社からの期待値を上手に調整する方法」など、持続可能な働き方を実現するためにワーママが心がけたい10のポイントについて、次のページから横尾さんに聞きます。

「持続可能」を実現するために
心がけたい10のポイント


ポイント(1)自分の要望など伝えてはいけないという「思い込みの縛り」から解放される
ポイント(2)仕事や生活における「自分の理想バランス」を探る
ポイント(3)育休取得や子育て経験を「弱み」と捉えないメンタリティーを持つ
ポイント(4)会社からの期待値を「上手に」調整する
ポイント(5)「頼る」に付加価値を付ける

ポイント(6)「人生のハンドル」は自分が握るという長期視点を忘れない
ポイント(7)コミュニケーションは「ロジカル」に!
ポイント(8)自分も相手もウィンウィンになるアサーション
ポイント(9)日常的な「巻き込み力」を身に付ける
ポイント(10)時間のない人こそ雑談が大事
*(6)~(10)は3回目記事で解説