大きな音や光が苦手、友達が怒られるのがつらい…
「学校が苦手」「登校するのが苦痛」という子どもたちの中には、人一倍敏感で、繊細な感覚を持つ子たちがいることが、近年分かってきました。
両親が心配する中、小学校生活がスタートし順調に過ごしていましたが、6月の授業で教材を見る際に教室の明かりが突然消され、驚いてショックを受けてしまいました。しかしそれをうまく口に出せないまま「なんとなく嫌だな」という気持ちが高まっていき、「お腹が痛い」「頭が痛い」と言い出して、1学期の最後はほとんど登校できないまま夏休みになってしまいました。
先生の配慮もあり、Y君とは離れた席に座っているのですが、Y君の怒りにスイッチが入ったときの大きな声や、それをとがめる先生の様子を見るのが嫌で、とうとう学校に行けなくなってしまいました。
音や光に敏感、初めての場所や初対面の人が極端に苦手、誰かが怒られていると自分のことのようにつらくなってしまう……。S君やN美さんのように、生まれつき非常に敏感で、繊細な感覚や感受性を持った人のことを、HSP(Highly Sensitive Person ハイリー・センシティブ・パーソン)といいます。米国の心理学者、エレイン・N・アーロン博士が提唱した概念です。このHSPの子ども版をHSC(Highly Sensitive Child)と呼びます。
臨床心理士で東京都のスクールカウンセラーでもある吉田美智子さんも、長年このような子どもたちに向き合ってきたといいます。
「HSCは病気でも障害でもなく、『生まれ持った気質』であり、医療機関を受診したとしても、HSCという診断名がつくことはありません。敏感な子をHSCとひとくくりにすることには、賛否両論あります。私自身も悩みながら臨床をしてきましたが、不登校などさまざまな困り事が生じているお子さんの相談に当たっていると、たとえ医学的な概念として認められていなくても、HSCと考えれば納得がいくケースがたくさんあると感じます」
親からすれば「どうしてこんな小さなことを気にするの?」「気にせず学校に行きなさい」と言ってしまうようなことでも、子ども本人にとってはつらく、やがて学校に行きづらくなってしまうこともあるといいます。敏感で繊細なタイプの子が楽しく学校生活を送るために、親はどんなサポートができるのでしょう。次のページから、吉田さんに詳しく聞きました。
