不登校なんてうちには関係ない――そう思っているかもしれません。しかし文部科学省の調査によれば、不登校の小中学生は全国に18万人以上おり(2019年時点)、2013年から増え続けています。特に今年は長引くコロナ下で、子どもたちは知らず知らずのうちにストレスやつらさをため込んでいる可能性も。子どもが「行きたくない」と言い出したとき、忙しい共働き親はどう対応すればいいでしょうか。広がりつつある「学校以外での学びの選択肢」も含めてリポートします。

不登校・行き渋り 親の心構え

大きな音や光が苦手、友達が怒られるのがつらい…

 「学校が苦手」「登校するのが苦痛」という子どもたちの中には、人一倍敏感で、繊細な感覚を持つ子たちがいることが、近年分かってきました。

小学校1年生のS君は、小さい頃から暗い場所が苦手で、夜寝るときも明かりを消しません。映画館やプラネタリウムは一度も行ったことがなく、遊園地のアトラクションや水族館でも、少しでも暗いゾーンには近づこうとしません。

両親が心配する中、小学校生活がスタートし順調に過ごしていましたが、6月の授業で教材を見る際に教室の明かりが突然消され、驚いてショックを受けてしまいました。しかしそれをうまく口に出せないまま「なんとなく嫌だな」という気持ちが高まっていき、「お腹が痛い」「頭が痛い」と言い出して、1学期の最後はほとんど登校できないまま夏休みになってしまいました。
音に敏感な5年生のN美さん。同じクラスのY君がすぐにカッとなって大きな声を出すことが恐ろしくてたまらないといいます。

先生の配慮もあり、Y君とは離れた席に座っているのですが、Y君の怒りにスイッチが入ったときの大きな声や、それをとがめる先生の様子を見るのが嫌で、とうとう学校に行けなくなってしまいました。

 音や光に敏感、初めての場所や初対面の人が極端に苦手、誰かが怒られていると自分のことのようにつらくなってしまう……。S君やN美さんのように、生まれつき非常に敏感で、繊細な感覚や感受性を持った人のことを、HSP(Highly Sensitive Person ハイリー・センシティブ・パーソン)といいます。米国の心理学者、エレイン・N・アーロン博士が提唱した概念です。このHSPの子ども版をHSC(Highly Sensitive Child)と呼びます。

 臨床心理士で東京都のスクールカウンセラーでもある吉田美智子さんも、長年このような子どもたちに向き合ってきたといいます。

 「HSCは病気でも障害でもなく、『生まれ持った気質』であり、医療機関を受診したとしても、HSCという診断名がつくことはありません。敏感な子をHSCとひとくくりにすることには、賛否両論あります。私自身も悩みながら臨床をしてきましたが、不登校などさまざまな困り事が生じているお子さんの相談に当たっていると、たとえ医学的な概念として認められていなくても、HSCと考えれば納得がいくケースがたくさんあると感じます」

 親からすれば「どうしてこんな小さなことを気にするの?」「気にせず学校に行きなさい」と言ってしまうようなことでも、子ども本人にとってはつらく、やがて学校に行きづらくなってしまうこともあるといいます。敏感で繊細なタイプの子が楽しく学校生活を送るために、親はどんなサポートができるのでしょう。次のページから、吉田さんに詳しく聞きました。

次ページから読める内容

  • 子どもの「本当の気持ち」に目を向けて
  • どこまでならできて、何がつらいのかを知る
  • 子どもの「応援団」をつくるつもりで学校と連携する
  • 大人への信頼感と安心感が、子どもの力になる
  • 学校に行くことを「当たり前」と決めつけない

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