不登校なんてうちには関係ない――そう思っているかもしれません。しかし文部科学省の調査によれば、不登校の小中学生は全国に18万人以上おり(2019年時点)、2013年から増え続けています。特に今年は長引くコロナ下で、子どもたちは知らず知らずのうちにストレスやつらさをため込んでいる可能性も。子どもが「行きたくない」と言い出したとき、忙しい共働き親はどう対応すればいいでしょうか。広がりつつある「学校以外での学びの選択肢」も含めてリポートします。

不登校になる前、子どもはサインを発しているはず

 文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、不登校児童の数は6年連続で増加傾向にあり、そのうちの約6割が90日以上欠席している長期欠席者です。

 特に、大型連休や夏休みなど長い休みの後には、子どもたちの不登校や行き渋りが増えるといわれています。

 5月の連休明けから小学4年生の長女が完全に学校に行かなくなったという共働きのMさん。昨年、コロナで小学校が一斉休校になってから、長女が「頭が痛い」「おなかが痛い」と訴えるようになり、あちこち病院で診てもらいましたが何も異常はありませんでした。

 そして中学受験を目指して行き始めた塾を欠席することが増え、心配していたところ、ついに学校にも「行かない」と宣言。現在は在宅勤務の夫が家にいるのでなんとか出勤できますが、この先もこの状態が続くのだろうか……と頭を抱えています。

 臨床心理士で東京都のスクールカウンセラーでもある吉田美智子さんは、「今年の夏休み明けは、行き渋りや不登校となるお子さんがさらに増えるかもしれない」と危惧しています。「その原因の1つは、長引くコロナ禍です。楽しみにしていたプールやお祭り、キャンプなどたくさんの行事やイベントが中止となり、先の見えないこの状況に大きなストレスを感じるお子さんが増えています」

 不登校になる前、子どもはなんらかのサインを発しているはずだと吉田さん。そのサインを見逃さず、対応を先延ばしにすることなく、早めに子どもの気持ちに寄り添ってあげることが何よりも大切だと指摘します。次のページから、子どもが発する「サイン」と、子どもが「行きたくない」と言ってきた場合の心構えを紹介します。