不登校なんてうちには関係ない――そう思っているかもしれません。しかし文部科学省の調査によれば、不登校の小中学生は全国に18万人以上おり(2019年時点)、2013年から増え続けています。特に今年は長引くコロナ下で、子どもたちは知らず知らずのうちにストレスやつらさをため込んでいる可能性も。子どもが「行きたくない」と言い出したとき、忙しい共働き親はどう対応すればいいでしょうか。広がりつつある「学校以外での学びの選択肢」も含めてリポートします。

親も心が折れそうになる「行きたくない」。言う理由は?

 働く親にとっての「魔の一言」といえば、朝の「保育園、行きたくない」ではないでしょうか。

 その言葉はどこで飛び出るか分かりません。朝ご飯を食べながら。玄関に座り込んで。自転車の背中で。きょうは言わないな、と思ったら、保育園の門の前で言い出してグズることもあります。

 親の頭には、子どもに対する心配や当日の予定が錯綜(さくそう)します。「保育園で嫌なことがあったのだろうか。でも、きょうは絶対に欠席できない会議がある、あの資料も午前中にまとめなければ。具合は悪くなさそうだな。やはり休ませるわけにはいかない。とにかく早く連れて行って定時には業務を始めなければ……」

 焦った結果、無理やり連れて行き、先生に「行くのを嫌がって……」と言いながら引き渡すも、子どもはギャン泣き。親も心が折れて一日中不安がある……。

 ところが、迎えに行くとすこぶるご機嫌で「もっと遊びたかった」なんて言って親を安心させます。ところが、また翌朝は……。

 多くの働く親がこんな「登園渋り」を経験しているでしょう。「行きたくない」には子どものどんな思いが込められているのでしょうか。無理やり連れて行く以外の方法は? 教育や保育に詳しく、自身も3人の子を共働きで育ててきた家族・保育デザイン研究所代表理事の汐見稔幸さんに話を聞きました。4ページ目では、年長クラスの子に特有の行き渋りの理由や、小学生の不登校が増える今、就学前に取り組んでおきたいことを解説します。

次ページから解説します!
●「保育園、行きたくない」の裏にある子どもの気持ち

●「行き渋り」の解決法は?

●「朝は行きたくない、夕方はニコニコ」。その心は?

年長さんの「行き渋り」。親の受け止め方

●小学校で増える不登校。就学前に取り組んでおきたいこと