わが子が突然「今日は学校に行かない」と言ったらどうしますか? 子どものことが心配なのはもちろん、共働きの親には「仕事はどうしよう」という仕事の悩みもあります。そこで、子どものタイプ別対応策について不登校の専門家を取材しました。不登校体験者の思いや、夏休み明けに向けてのメッセージも発信します。

行き渋り、不登校の裏には「発達障害」があることも

 子どもが行き渋りや不登校になったら、もしかしてADHDやアスペルガー症候群などの「発達障害」が隠れているかもしれません。今回は、アメリカで4人の子どもを育てながら、ADHDについて研さんを深め、帰国後、日本に初めてADHDを紹介した司馬クリニック院長の司馬理英子さんに、発達障害のある子どもが学校へ行きやすくなるためのノウハウを聞いていきます。

発達障害とは、平成17年から施行された「発達障害者支援法」で用いられるようになった言葉です。それまでも発達障害は、身近にあったのですが、社会の中で十分に知られていない障害だったため、誤解が多く、支援体制は十分ではありませんでした。そのような背景から、発達障害について社会全体で理解し、支援を行っていくために発達障害者支援法が施行されています。

 発達障害のうち、自閉症障害、アスペルガー症候群はアメリカ精神医学会が2013年に定めた精神疾患の診断マニュアル「DSM-5」で、「自閉スペクトラム症」として1つのカテゴリーにまとめられることになりました。しかし、この記事では、耳になじみのあるアスペルガー症候群という名称を使って説明していきます。

 司馬さんは、不登校の子どもが増えるのに伴い、学校へ行けない発達障害のある子どもも増えていると話します。実際には、発達障害の症状そのものが、不登校を引き起こすわけではありません。学校という集団生活では、発達障害のある子どもの症状が目立ちやすく、叱られたり、いじめられたり、勉強についていけないなど、つらい思いをすることが多くなります。その際に、適切ではない対応をしていると、二次障害として、行き渋りや不登校などが起きてしまうことがあるのです

ADHDとアスペルガー症候群には不登校に結びつきやすい特徴がある

 ADHDとアスペルガー症候群は、症状の出方によっていくつかのタイプに分かれ、それぞれに次のような不登校を引き起こしやすい特徴があります。