わが子が突然「今日は学校に行かない」と言ったらどうしますか? 子どものことが心配なのはもちろん、共働きの親には「仕事はどうしよう」という仕事の悩みもあります。そこで、子どものタイプ別対応策について不登校の専門家を取材しました。不登校体験者の思いや、夏休み明けに向けてのメッセージも発信します。

共働き家庭で不登校が起こるとどうなる?

 長女が小学校に入学した共働きのKさん。まだ学童のお迎えはあるものの、「朝の保育園の送りから解放され、仕事によりコミットできる」と意気込んでいました。しかしそれもつかの間、5月のゴールデンウイーク明けの日、子どもが「学校に行きたくない」と玄関先で宣言したのです。

 手を引っ張って連れて行こうとすると泣き出します。Kさんは青ざめました。その日は会議や社外でのクライアントとの打ち合わせの予定がいくつも入っていて、出勤時間に遅れるわけにはいかなかったからです。

 子どももつらそうなのに、仕事の予定のことでイライラしてしまう自分にKさんは自己嫌悪。仕事を辞めなければならないのか、という思いが頭をよぎりました。

小学生では185人に1人。「不登校傾向」の子はその何倍もいる

 これは、日経DUAL読者が体験したエピソードです。ここ数年、小学校で不登校になる子どもが増えています。文部科学省が毎年行っている「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると平成29年度、不登校児童生徒は小学校で3万5032人。割合でいうと0.54% (185人に1人)に当たります。中学校になると、大きく増えて、10万8999人(3.25%。 31人に1人)になります。

 同調査によると不登校の子どもの数は平成24年以降、5年連続で増加しています。平成28年から29年の1年間では小中学校合わせて1万人以上も増加しました

 学校の規模にもよりますが、小学校の不登校が185人に1人と聞くと、「1~2学年に1人くらいなのか」と思うかもしれません。しかし、これは、「年度間に連続または断続して30日以上欠席した」という文部科学省が定義した不登校の児童の数のみです。

 全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』編集長の石井志昂(しこう)さんは0.54%の「不登校」の子どもたちの背景にはその何倍もの「不登校傾向」の子どもたちがいるのではないか、と推測します。

 「日本財団が2018年に行った『不登校傾向にある子どもの実態調査』で、『不登校傾向にあると思われる中学生』は10.2%の約33万人と、不登校の中学生の約3倍もいると推計されることが話題になりました。同じ調査で、小学校時代に、不登校または不登校傾向にあったと思われる現中学生がどのくらいいるか調べているのですが、14.4%もいることも分かっています」。現中学生の100人中14人の子が小学生のときに「不登校または不登校傾向」にあったというのは決して少なくない数字です。

 「不登校傾向」には、教室は行くけれども心の中ではいやだと思っていたり、学校へ行っても教室に入らず、保健室や校長室で過ごしたり、学校に行っていない状態が一定期間(30日未満)あったりすることです。学校へ行きたがらない行き渋りも含まれます。「それなら自分の子どもや周囲の子どもに思い当たる子がいる」という方もいるのではないでしょうか。

 例えば、子どもにこんな様子は見られませんか?