1日休ませると次の日からは行けることも多い

 石井さんは「子どもが休みたいと言ったときは1日休ませてあげると、次の日から行けるようになることもある」と話します。「休みたいという気持ちを親に受け止めてもらえたことで、子どもは勇気づけられます。また、学校が辛いときには家に避難できるのだという安心感が得られるので、再び学校へ行けるようになるのです」。ただし、1日休んだだけで行けるかどうかは、それまでに子どもの心がどのくらい深く傷ついているかのよるのだそう。「傷が深い場合は、行けないことが多いです。その場合には、不登校を子どもからのSOSと受け止め、学校の先生や不登校に詳しい専門家に相談しながら、状況を見極めるのが良いでしょう」

【休みを認め、長期化を防いでいるケース】

●1年生の時はゴールデンウイーク明けから、2年生の時は4月後半から、3年生の時は6月頭くらいから、朝目覚めが悪く、体調不良を訴える日が多くなりました。休みたいと言うので、1学期間に1~2日程度のため、休ませています。翌日からは元気に登校するので、充電日という認識です。(41歳、女性、金融・証券・保険、子どもは小3、行き渋りをするので親が連れて行っている)

●2年生の秋くらいから 学級崩壊によるクラス内の不安定さと攻撃されているのを見たくない気持ちから行き渋りや不登校に。学級崩壊がひどかったので、時々行く、休む日を設けるなどして、あまり無理のないようにしました。しかし学校に行かない習慣になるのも怖いので、昼からでも行けるときは行くようにしました

 低学年は親と離れたくない気持ちも強いだろうと思い、あえて二人で外出して遊びに出かけたり、ピクニックに行くようにしたりしました。家でも一緒に卓球したり、外でバドミントンをしたりしたので、気晴らしになり、体を動かすことで気持ちが楽になったように思います。(45歳、女性、教育・教育学習支援関係、子どもは小5、過去に不登校、行き渋りがあった)

保育園→小学校のギャップからの行き渋り、不登校への心配も

 読者アンケートでは、保育園児の親からの登園渋りについての悩みも多く寄せられました。「ママといたい」という子どもの気持ちは受け止めつつも、保育士と協力して登園させている人が多いようです。

【子どもの気持ちは受け止め、保育園に行ってもらう】

●保育園でお泊まり保育をした直後の連休明けから行き渋りが始まりました。一通り理由を聞いても、どれもとってつけたようなもので、子どもが登園してくれないと仕事にいけないので行かせています。(37歳、女性、素材、子どもは年長、過去に不登校、行き渋りがあった)

●「親と一緒にいたい」という気持ちは尊重し、気持ちを言語化してあげます。そのうえで、園の先生に協力してもらって、本人の気持ちが切り替わるような提案をしています(先生に抱っこしてもらって高い窓からママにバイバイしようか、先生と折り紙を取りに行く?等)。この方法で何とか登園してもらっています。(37歳、女性、医療、子どもは1歳と年中、行き渋りをするので親が連れて行っている)

 就学すると1日の過ごし方が大きく変わります。時間ごとに行うことが決められ、授業中は椅子に座っていなければならない生活は、自由な雰囲気の保育園で過ごしてきた子どもには、ついていくのが辛いこともあるようです。また、30人前後の子どもたちが一斉に行動する小学校の教室は、保育園の家庭的な雰囲気とは全く異なります。人間関係も大きく変わるでしょう。そのような環境の変化があるため、就学間もない小学校1年生では、行き渋りや不登校になる子も出てきます

【保育園→小学校のギャップから不登校になったケース】

●知人の子が、保育園では先生方や周りの保護者の理解やコミュニケーションが密で、のびのびと過ごすことができていたのに、小学校1年生になって、先生の対応や友人関係がうまくいかなくなり、不登校に。知人は勤務を継続できず会社を退職しました。それを見ていて、保育園は行き届いたサービスや1人1人の個性を伸ばすような園が増えている一方、小学校の団体生活でギャップがあるのかという印象を受けました。(34歳、女性、通信サービス、子どもは2歳、不登校、行き渋りをしたことはない)

●同僚のお子さんも小1で行き渋りになり、学校への付き添いを求められ、PCを持ち込んで仕事したそうです。保育園から小学校、中学校と進むにつれて、個性を認める教育から、画一的な行動が求められるようになることが、行き渋り・不登校の大きな原因だと思います。特に学校の変わり目では違和感が大きいのではないでしょうか。学校への付き添いを求められたり、家で過ごすことになった場合に備えて、働く親としては、テレワークやフレックス勤務など柔軟な働き方を会社に対応してもらいたいと思います。(49歳、女性、製造、子どもは中1以上、不登校、行き渋りをしたことはない)

【回避できたケース、こうしてほしい!】

●うちの子どもはプレッシャーに弱いので、「もうすぐ小学生!小学生になったらちゃんとしないと!」などと、プレッシャーを与え過ぎることは言わないように注意しました。保育園の先生にもお願いしていました。保育園から小学校への変化はこれで何とか乗り越えました。(52歳、女性、業界団体、子どもは中1以上、過去に不登校、行き渋りがあった)

●年長になると、親が焦って、時計を読めるように、ひらがなを読めるように、などの知育面に気を取られがちです。でも、保育園時代から、小学校の校庭で遊んだり、学校を見学したり、通学路を行き来してみたり、高学年の子どもと知り合いになって遊んだりして、新しい環境への負担を少しでも減らす経験を積んだほうがよいと思います。(38歳、女性、会計・法律関連、子どもは2歳と小3、過去に不登校、行き渋りがあった)

●保育園は第二の家庭ですが小学校は違うので、初めて出会う人とのやりとりを学ばせておけばよかった。また、保育園に協力してもらい、規律を守る場面を徐々に増やしてもらえばよかったと思います。(43歳、女性、教育・教育学習支援関係、子どもは小1と小3、行き渋りをするので親が連れて行っている)