パートナーのDV/モラハラ、依存症、離婚、わが子のいじめ加害……。こうした悩みは、人に相談しにくく、自分たちだけで抱え込んでしまいがちです。しかし、問題を放置してしまうと、自分がつらいだけではなく、子どもの健全な発育が妨げられてしまうことも。悩みを解決するためには、視野を大きく広げ、問題が起こる根本原因や、影響が及ぼす範囲などにも目を向ける必要があります。共働き家庭のケースを想定し、専門家の取材を通じて、出口戦略を考えていきます。

型通りの謝罪だけでは、問題は解決しない

 わが子がもし、いじめの加害者になってしまったら……。多くの親は「うちの子に限ってそんなはずは」と、信じたくない気持ちを抱くのではないでしょうか。子どもや学校に話を聞き、いじめ加害がいよいよ事実だとなったとき、「自分の育て方が悪かったのでは」と深く落ち込み、わが子を早く更生させなければと焦ったり、被害者に謝罪を済ませ、事態を早く収束させたいという思いがよぎったりするかもしれません。

 「いじめが発覚したとき、加害者である子どもの多くは『相手にも悪い面があった』『悪ふざけのつもりだった』など自分にとって都合の良い解釈を親に伝えます。実際に加害者側の親が学校や被害者を責めることも、残念ながら少なくありません。

 加害者側がいじめを認めたとしても、事態を早く収束させたい学校側と加害者側が、型通りの謝罪をして終わり、ということはかなり多いです。けれどもこれでは、被害者はもちろん加害者側の子どもも大きな傷を残したままになります。問題を先送りにすることで、大人になってから取り返しのきかない事態になることもあり得るのです」

 そう話すのは、スクールカウンセラーとしていじめ被害・加害の両方に向き合ってきた、東京家政大学教授の杉山雅宏さんです。

 杉山さんは、「いじめ加害者となった子どもに反省を促したり謝罪させたりする前に、親としてすべきことがある」と言います。

この記事で分かること
・いじめの加害者側となったわが子とどうコミュニケーションを取ればいい?
・いじめ加害の原因が家庭にある場合、どうすれば
・被害者への謝罪は、いつ・どのように行う?
型通りの謝罪をしただけでは、被害者も加害者も傷ついたまま
型通りの謝罪をしただけでは、被害者も加害者も傷ついたまま