生活の中で触れる文書は多様化し、デジタル空間にも広がり、「読解力」の定義や教育方法は、どんどん変わっています。子どもたちは、どのような「読解力」を伸ばせば、これからの世の中で豊かに学び、働き、生きることができるのでしょうか。AI時代に必要な力や、幼児から家庭で取り組める習慣、読解力重視の傾向が強まる中学入試に備えるヒントなど、読解力について多角的に迫ります。

シリコンバレー拠点、AIビジネスデザイナーが考える読解力

 「読解力」の定義はさまざまあります。読解力と聞くと、日本語なら日本語の、英語なら英語の、それぞれの言語における読解力を思い浮かべがちですが、AI時代を生きる子どもたちが身に付けたい読解力は、それだけではありません。

 「英語や日本語など言語の壁を超えた『読解力』は存在すると思います」。そう話すのは石角友愛さん(パロアルトインサイトCEO)です。石角さんは、16歳から単身渡米して寄宿制の高校に留学。オバマ前米大統領も進学したオクシデンタル・カレッジを経て日本で起業、長女出産とほぼ同時に米ハーバード・ビジネススクールでMBAを取得したのち、米グーグルに入社。その後、シリコンバレーを拠点にパロアルトインサイトを起業し、AIビジネスデザイナーとして日本企業のAI(人工知能)活用を支援しています。

パロアルトインサイトCEO/AIビジネスデザイナーの石角友愛さん
パロアルトインサイトCEO/AIビジネスデザイナーの石角友愛さん

 「16歳まで、登場人物の心情や著者のいいたいことをくみ取るなど従来型の日本の国語教育を受けて育ちましたが、渡米後は全く異なる『読解力』を鍛えられました」。それは、英語や日本語といった言語の壁を超えた読解力だったと言います。

 「文法を読み解くといった、それぞれの言語固有の読解力も存在しますが、言語の壁を超えた『読解力』は、これからAI時代を生き抜くために、子どもたちに必要な力だと思います」。石角さんは、5歳と10歳の子どもを育てる母親でもあります。

 日米で学び、グローバルにキャリアを築き、最先端のAIビジネスの現場で切磋琢磨(せっさたくま)する石角さんに「AI時代に必要な読解力」とその理由、それを育むために家庭でしていることについて聞きました。

「AI時代だからこそ、必要な理由があります!」言葉の壁を超えた「読解力」 伸ばすために家庭でしていること・デジタル機器よりも紙の本を惜しみなく与える ・課題図書や子どもが好きな本は、親も並行して読む ・映画化された小説は「原作が先、映画は後」・親子で図書館や書店に行く・5歳の子どもと一緒に画集も「読む」