子どもが巻き込まれる性犯罪が後をたちません。わが子を守り、また、正しい知識を持たないがゆえの加害者にならないよう、親は「性教育」に向き合い、性について伝えていかなければなりません。とはいえ、親自身はそこまで性教育に触れてきたでしょうか。「子どもに、一体、何をどう伝えればいいか分からない」という人に向けて、家庭で始める性教育のノウハウをお届けします。

 子どもの性教育で悩む家庭は多いのではないでしょうか。未就学児や小学生の子どもを育てるパパとママに、これまで自分自身が受けてきた性教育や、子どもへ伝えていることなどについて語ってもらいました。

話を聞いたパパたち、ママたち

Aさん 7歳と2歳の娘のパパ
Bさん 5歳の息子のパパ
Cさん 15歳の娘、12歳の息子、3歳の娘のママ
Dさん 7歳と3歳の娘のママ

―― 皆さんは、成長する過程で誰にどのような性教育を受けましたか?

Aさん 私くらいの年齢ではこういう人は多いかもしれませんが、両親からの性教育は一切なかったです。性器のことやセックスのこと、また性病や避妊のことなども両親に聞くのはあり得なかったです。両親からも何かを伝えてくることはなかったですね。「両親と性について話すのは、恥ずかしいこと」という意識が強かった気がします。

 思い出すのは保育園か小学校の低学年くらいのときの出来事です。両親に「僕はお母さんから生まれたから、お母さんの血が僕に流れているのは分かる。でも、どうして、お父さんの血が僕に流れているの?」と聞いた時の両親の答えです。

 「一緒に暮らしていると、自然とそうなるんだよ」で終わりです。「???」ですよね(笑)。父の血が空気に染み出て、それを僕が吸っているのかな、そして僕にも父の血が……。いや、そんなはずはないと、子ども心に「なんかはぐらかされているな」と感じましたが、いそいそと話を終える両親にこれ以上は聞けないなと思いました。

Bさん 親も学校も性について教えてくれませんでしたよね。すると、学校の先輩とか友人からしか学ぶ機会がないですよね。今思うと、すごく偏った経路からしか性について学んでこなかったなと思います。自分の子どもにはそうなってほしくないです。

Cさん 私も性教育をきちんと受けたことがありません。高学年のときに学校で、男女で分かれて1時間ぐらい話を聞いたくらいです。女性にとって、とても大切な初潮についてすら母からほとんど学んでいなくて。たしか、教養漫画などから知識を得た記憶があります。

 初潮があったのは高学年の時だったんですけど、苦い思い出として記憶に残っています。習い事関連の行事のために地方から上京して、母とホテルに泊まっていたときです。母にはまったく相談できずに、ホテルに備え付けのデスクの引き出しに汚れた下着を隠しました(笑)。それまでも性について母におおっぴらに相談したことがなかったので、恥ずかしさから伝えられませんでした。一応、初潮に気づいた母は「おめでとう」と言って、自宅に戻ってからはお赤飯を炊いてお祝いしてくれましたが。

Dさん 私の場合は、母が隠し事を嫌う人だったせいか、私からのどんな質問にも誠実に答えてくれました。初潮の時も、私の目の前でナプキンのつけ方を実演してくれましたし。そんな母親の存在に安心感を抱いていました。