「勉強はやる気になったらやればいい」という考え方

 今泉さんは、自身の小学生時代をこう振り返ります。「6畳1間に6人暮らしで、家が狭いから、川でザリガニ釣りをするなど朝から夕方まで外で遊んでいました。夕飯時には父親がいつも動物のことを話題にしたので、自然に耳に入っていました。動物についての外国語の本が家にたくさんあり、テンの絵などを飽きずに眺めていた記憶があります」

 今泉さんの父親は、体験したことと、後から勉強したことがピタッと合えば、それが本物の知識になる、勉強はやる気になったらやればいい、という考え方を持っていました。「私自身も小学校は遊ぶところだと思っていて、小3になるまで実は字が書けませんでした。でも、あるときふと、教室で周囲が字を書いていることに気付き、そこから改心(笑)。常にノートを小脇に抱えて母親に教えてもらって、頑張りました。何かを強制されることは大嫌いでしたが、自分で気付いてやる気になったとき、子どもはやはり頑張れますよね」

 70代になった今も生き物に対する好奇心は尽きることなく、精力的にフィールドワークを続ける今泉さん。「富士山でテンの観察をしたりして、子どものときから、やっていることはあまり変わっていません(笑)」。子どもの頃の体験が、その後の学びの土台になると実感してきた今泉さん。自身の子育てにおいても「体験」は重視しました。息子は3歳の9月に、富士山の頂上まで登ったと言います。