あなたは、子どもに「今日は学校に行きたくない」と言われたら、どう反応しますか。 無理に学校に行かせる?「どうしてそんなことを言いだすの?」と問い詰める? 内心、1日くらいなら休ませてもいいかなと思いつつ、休みグセがつかないか心配…という人もいるでしょう。子どもは、いつ、どんなきっかけで「学校に行きたくない」と言い出すか分かりません。子どもが行き渋りを見せたとき、親はどう対応をすればいいのでしょうか。行き渋りや不登校はそもそも悪いことなのか、何が問題なのか。今悩んでいる親も、そうでない親も知っておきたい「不登校の今」について取り上げます。学校に行かないわが子を見守った親たちのケースも紹介します。

息子たちは年間欠席40日以上でも無事に高校を卒業

 子どもが「学校に行きたくない」と言い出しても、親は「病気でもないのに、休ませるべきではない」と判断し、無理やり説得して行かせてしまう場合が少なくありません。しかし、子どもの「だいじょうぶ感」が低下しているときは、しっかり休息を取るべく学校を休んでもいい、というのは、1本目記事「『今日は学校に行きたくない』とわが子に言われたら」でもお伝えした通り。親は「病気でもないのに休ませたりしたら、そのまま不登校になってしまうのではないか」と心配しがちですが、「子どもが少し疲れているだけの場合は、数日ゆっくり休むことで再び登校できるようになる」と、小児神経専門医として不登校の子どもの外来診療にあたってきた加藤善一郎さんは指摘します。

 本記事では、実際に子どもが学校に行きたがらないときには、「お疲れ休み」と称して学校を休ませながら、子どもの心身を癒やしてきた家族のケースをご紹介します。お話しいただくのは、小林真由子(仮名)さんです。

 「子どもが学校に行きたくない、と言い出したときに、無理に行かせたところでうまくはいきません。大事なのは子どもを安心させてあげることです」と、小林さんは話します。

 小林さんの2人の息子は、小学校から高校にかけて、特に学校や友達とのトラブルはなかったものの、「今日は学校に行きたくない」と言い出すときが多々あったと言います。その都度、小林さんはポジティブに受け入れてきました。2人の息子は健やかに育ち、年間の欠席40日以上、遅刻100日以上でも無事に高校を卒業。1人は東大に進学して大学生に、もう1人は現在、趣味などを楽しみつつ、進路を模索中だと言います。

 「私自身、小中高のころに『学校に行きたくない』ときには、親にそう申告すれば『じゃあ、お疲れ休みをしよう』と受け入れてもらってきました。それを同じように子どもたちにも取り入れてきたのです。

 そういう経験があるため、『子どもが学校に行きたがらない。このまま不登校になってしまったらどうしよう』と人からも相談を受けることがあります。特に『不登校』という言葉は、親御さんにはダメージが大きいようです。でも、それは『学校は行くのが当たり前』という考えが前提にあるからだと思います」と小林さん。

 「しかし、学校を休むことは本当にいけないことなのでしょうか? 子育てで一番大切なことは、子どもが元気でいてくれることだと思います。休むことに罪悪感を持ったり、病気にならなければ休んではいけないと思い込んでいたりする親御さんは少なくありませんが、無理に学校へ行かせても子どもの心が疲れるだけです。休むことは自分のリズムを整える上で大切な時間だと私は考えます」

 そうは言っても、子どもに学校を休ませることに抵抗がある、という人もいるでしょう。小林さんの夫も最初は抵抗感を覚えていたと言います。では、小林家では夫はどのように「お疲れ休み」を受け入れ、子どもたちは「お疲れ休み」をどのように過ごしていたのでしょうか。

 また、学校に行かないとなると、家でゲームばかりしてしまうのではと不安に思う人もいるかもしれません。実際、どのように過ごしていたのでしょうか。また、「学校に『行きたくない』と言える子は強いです」と小林さん。それはどういうことでしょうか。

次のページから詳しく紹介します
・学校に行かない間、子どもたちはゲーム漬けにならなかったのか?
・「お疲れ休み」期間中の家族の過ごし方のルールは?
・学校に「行きたくない」と言える子の強みとは