あなたは、子どもに「今日は学校に行きたくない」と言われたら、どう反応しますか。 無理に学校に行かせる?「どうしてそんなことを言いだすの?」と問い詰める? 内心、1日くらいなら休ませてもいいかなと思いつつ、休みグセがつかないか心配…という人もいるでしょう。子どもは、いつ、どんなきっかけで「学校に行きたくない」と言い出すか分かりません。子どもが行き渋りを見せたとき、親はどう対応をすればいいのでしょうか。行き渋りや不登校はそもそも悪いことなのか、何が問題なのか。今悩んでいる親も、そうでない親も知っておきたい「不登校の今」について取り上げます。学校に行かないわが子を見守った親たちのケースも紹介します。

私立の中高一貫校で不登校を経験

 学校への行き渋り・不登校は、何も公立小学校・中学校に限った話ではありません。私立中学に通っても起こり得ます。中学受験を乗り越えてせっかく私立の中高一貫校に入ったのに、子どもが不登校になってしまった。通っていない学校に高い学費を支払わなければならない上、高校への内部進学すら危うい。そんなとき、保護者は大きな葛藤を抱えることになります。

 中学2年生の夏休み明けから不登校になり、現在は通信制高校に通う娘さんを持つ林美里さん(仮名)に、不登校になるまでの経緯と葛藤、今の状況について聞きました。

林美里さん(仮名)/45歳/フリーランスのWebデザイナー
長女・奈穂さん(仮名)/通信制高校1年生(現在)/中学2年生より不登校を経験

成績が急降下、主要教科がオール1に

 フリーランスとしてWebデザインの仕事をしている林美里さんの長女で、現在、通信制高校に通う奈穂さん(仮名)が学校に行かなくなったのは中学2年生のとき。当時のことを林さんはこう振り返ります。

 「中2の1学期に成績が急降下して、英・数・国・理・社の主要教科がすべて『1』になりました。中学受験で頑張ってせっかく大学付属の中高一貫校に入学したのに、高校への内部進学も難しいところまで成績が落ち込んでしまいました」

 奈穂さんは、中1のころから断続的な体調不良で、保健室に通うことが多かったといいます。中2になると体調はさらに悪化し、遅刻、早退、欠席する日が増えていきました。

 「特にひどかったのは、PMS(月経前症候群)とPMDD(月経前不快気分障害 )です。成績の急落をきっかけに、インターネットでいろいろ調べているうちに、思春期に多い朝起きられなくなる起立性調節障害(OD)という症状を見つけました。奈穂は、これにも該当していたのだと思います。その他に、片頭痛や過敏性腸症候群(IBS)に似た症状も見られました」

 娘の体調が思った以上に深刻であることに気づいた林さんは、奈穂さん本人と話し合いました。すると、奈穂さんは「学校を休みたい。朝、学校に行くかどうかを決めるんじゃなくて、長い間休みたい」と言ったのです。こうして、しばらく学校を休むことにしました。つまり、不登校を選択したのです。

中高一貫校に入学したものの、体調不良が続いた(写真はイメージ)
中高一貫校に入学したものの、体調不良が続いた(写真はイメージ)