結婚した当初は、夫婦が同じように働き、同じように稼ぎ、夫婦は平等だと思っていた。だけど、子どもが生まれて共働き子育て生活が始まると、一方だけが育児や家事の大半を担うワンオペに。それどころか、家庭内の発言権、決定権にまでいつの間にか差がつき、気づくと夫婦間に大きな不平等や格差が生まれていた、というケースは少なくありません。いったい、こうした共働き夫婦の不平等はどこから生まれるのでしょうか。背景や、解消のヒントを探りました。

夫のほうが稼ぐ夫婦が圧倒的に多いのが現実

 共働き子育て中の世帯で、どちらか一方に、強い不公平感がある場合、その背景に、夫婦間の収入格差が隠れているケースが少なくありません。

 「最近の結婚の傾向としては、大卒の人同士が結婚する『学歴の同類婚』の割合が増えるとともに、同じくらいの年収レベルの人同士が結婚する『所得の同類婚』も増えています。結婚した時点では夫婦が同じくらい稼いでいても、その後の妊娠・出産・子育てによる離職・休職・短時間勤務などによって、妻の収入が減ったり、無収入になったりするケースは少なくありません。その結果として、世帯所得をメインで担うのは夫、妻はサブ的な位置づけという夫婦が多くなっているのが現実だと言えるでしょう」。結婚や家族のあり方についての分析・提言を行っている荒川和久さんはこのように説明します。

 荒川さんが「就業構造基本調査(2017年)」をもとに、30代夫婦(夫婦のみ世帯と夫婦と子世帯)の世帯年収の内訳を独自に分析したところ、「夫のほうが多く稼いでいる夫婦の比率が圧倒的に多い」ことが見えてきたといいます。

荒川さんが「就業構造基本調査(2017年)」で夫の年齢30代だけを抽出し、それぞれの年収比率ごとに区分けして作成したグラフを基に日経xwomam DUALで作成
荒川さんが「就業構造基本調査(2017年)」で夫の年齢30代だけを抽出し、それぞれの年収比率ごとに区分けして作成したグラフを基に日経xwomam DUALで作成

 世帯年収1000万円以上の層を見ても、夫婦が同等だったり、妻のほうが稼いでいたりするケースはほとんど見られません。

 子どもをもつ多くの夫婦が直面する「夫婦間の収入格差が大きくなる」という問題。働き方や収入に違いが生じることで、「自分ばかりが損をしている」「自分ばかりが大変な思いをしている」と不公平感を強く感じる場合、どうすればよいのでしょうか。次ページから、夫婦間格差によるモヤモヤ解消のヒントを紹介していきます。