コロナショックによる経済混乱の中、家計も引き締めムードになっているのではないでしょうか。今後の先行きが不透明で、「教育費も見直していくべきかもしれない」と考えている方は多いかもしれません。とはいえ、子どもの可能性は狭めたくなく、教育のクオリティーは上げていきたいところです。「ローコスト」と「ハイクオリティー」を両立させるための方法や勘所を探っていきます。

中堅校狙いなら自宅学習もあり

 中学受験をするために受験塾に通う場合、新4年生からの3年間で200万円を超えるコストがかかります。コロナ・ショックの家計への影響も避けられない中、中学受験をすると決めたなら、こうした受験勉強のためのコストも、「そういうものだから、しょうがない」ではなく、いったん見直したいもの。

 「必ずしも、受験塾に通うことだけが受験勉強の形ではないのでは?」と、フルで塾に通う通常のスタイルではなく、比較的ローコストですむ通信教育などを利用した自宅学習中心の方法に着目。中学受験のプロで、中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員でもある小川大介さんにアドバイスを聞きました。

 「『何が何でも御三家に合格したい・させたい』などの場合は、通塾をおすすめしますが、中堅校狙いなら、通信教育や塾が提供するオンラインコースなどを活用しながら自宅学習するという方法もありだと思います」と小川さんは言います。

体力に自信がない子、マイペースな子は自宅学習に向く

 自宅学習には、コストが下がるだけでなく、通塾にはないメリットもあるといいます。

 「動画授業なら、苦手な部分で一時停止したり、何度も繰り返し見て学習したり、朝に前半、放課後に後半、といった具合に分割して視聴したりすることができます。通塾にかかる時間を削減できるので、『体力がない』『睡眠時間をしっかり確保したい』という場合にも向いていると思います。

 通塾は、先生が直接指導して勉強させることで強制力が働きます。自宅学習は、自分で取り組むことが前提になるので大変ですが、その分、本物の勉強習慣が身に付きやすいのが特徴。自分自身で一歩一歩前に進んでいく経験は、中学受験だけでなく、今後の人生にも必ず役立ちます」

 わが子が自宅学習に向いているかどうかを見極めるための一つの方法として、小川さんがすすめるのが、小学校の授業参観でわが子の学習の様子をチェックすること。「授業でハイハイ!と手を挙げて授業に積極的に発言する子は通塾に向いていますね。一方で、授業で挙手や発言はあまりせず、マイペースに勉強するタイプの子は自宅学習に向いていると思います」

 わが子は通塾より自宅学習のほうが向いているのでは、と感じたら、自宅学習に切り替えることを検討してみるといいかもしれません。「塾で伸び悩んでいた子どもが、自宅学習に切り替えたことで成績が上向く、というケースもあります」(小川さん)

 ただし、注意したいのは、「親の出番」が通塾よりも多くなる点。「中学受験で合格を勝ち取るには、そもそも自分の身の丈以上の無理をする必要があります。子どもがマイペースなタイプだからと自宅学習を選んだとしても、親が何もせず、完全に子どものペースに任せ切りでは合格は難しいですね」と小川さんは言います。

 実は小川さんの息子も、塾のオンラインコースをメインに自宅学習して中学受験に挑み、関西の最難関校、灘中学に合格。今は中学2年生です。小川さん自身、父親として息子をサポートし続けてきました。そうした実体験を踏まえ、小川さんに、自宅学習での受験を成功させるために親が心掛けるべきことや、おすすめ教材などについて、具体的に聞きました。また、通塾と自宅学習でコストがどれほど異なるか試算した結果とともに、次ページ以降で詳しくお伝えします。

画像はイメージ
画像はイメージ