コロナショックによる経済混乱の中、家計も引き締めムードになっているのではないでしょうか。今後の先行きが不透明で、「教育費も見直していくべきかもしれない」と考えている方は多いかもしれません。とはいえ、子どもの可能性は狭めたくなく、教育のクオリティーは上げていきたいところです。「ローコスト」と「ハイクオリティー」を両立させるための方法や勘所を探っていきます。

「仕事で英語がうまく使えなかった」経験から生まれた知恵

 「子どもにはネーティブスピーカーが母国語を身に付けるように自然に英語を習得してもらいたい」「英語を日本語に訳さず、英語のまま理解できるといい」……。子どもの英語習得の先にそんな願いがあるかもしれません。しかし、日本で暮らしながら、子どもが自然に英語に触れるには、幼少期から英語で学ぶ保育園(幼稚園)やインターナショナルスクールに通わせるなどして環境を用意する必要があり、それには高額な月謝がかかります。コスト面からもなかなか現実的ではありません。

 これに対し、マネーフォワードCTOの中出匠哉さんが試行錯誤する中で確立し、家庭で実践してきたのは、「ローコスト&ハイクオリティー」な英語学習法。それほどお金をかけずに、子どもたちが自ら英語に触れにいく環境を生み出しました。高校1年生と小学6年生の子どもが0歳の頃から実践しており、確かな手応えを実感しているといいます。

 「自分が仕事で本格的に英語を使わなければいけなくなったときに、あまりうまくコミュニケーションが取れなくて。子どもたちはこんな苦労をしないでほしいという思いから始まりました」。中出さんは二人の娘の英語教育を考えるようになったきっかけをこう振り返ります。

 中出さんは以前、外資系企業で働いていた経験があり、外国人の顧客もいたため、もともと英語を使う機会は少なくなかったといいます。「とはいえ、英語でのコミュニケーションは、話すにしても書くにしても、日本語を使う場合に比べてかなりの時間を要し、苦労していました」

 中出さんの妻も同じような経験をしたことがあったため、「子どもには小さい頃から英語教育を進めよう」と夫婦で意見が一致。「英語ができればもっと仕事がしやすくなり、職業の選択肢も広がるよね、と、長女が生まれる前から夫婦で話していました」

 そこで、長女が生まれ、英語教育をスタートするに当たっては、「ネーティブが学ぶように、自然に英語を身に付けてほしい」という目標を立てました。「日本でも小学校からの英語教育がスタートしましたが、どれだけ長期間学んでも自在にコミュニケーションが取れるレベルまで習得するのは難しいですよね。それは英語を『勉強』として捉えているからではないかと思ったんです。一方、ネーティブにとって英語は『勉強』ではなく、母国語なので話せて当たり前。母国語を獲得する際のように『自然に英語に触れる』環境さえ整えれば、日本人でもネーティブのように話せるようになるのではないかと考えました」

 そこで、中出さんは娘たちが0歳の頃から、生活の中に「ある工夫」を取り入れることにしました。戦略的に英語教育に取り組んだ結果、子どもたちは二人とも英語が得意になり、「発音も良く、学校で帰国子女と間違われることもあるそうです」。特別な試験勉強をしなくても、上の子は中学2年生で実用英語技能検定(英検)準1級、下の子は小学校4年生で準2級に合格するまでになったそう。いったいどんな方法なのでしょうか。次ページから詳しく見ていきましょう。