コロナ下で行動自粛を余儀なくされた2回の夏を経て、「今年こそはわが子の夏休みを充実させたい」と願っている共働き家庭は多いのではないでしょうか。海外旅行など長期の旅行に出かけることはまだ難しいとしても、工夫次第で過ごし方の幅はぐんと広がります。子どもが自然体験をしている間に親は仕事をする「ワーケーション」のプログラムや、親が手伝わなくても子どもだけで参加できるオンラインのワークショップも増加。週末のプチ旅行やお出かけも、子どもに部分的に企画させたり、探究を深めるためのお出かけ先を選んだりすることで、学びが多く、特別感のあるイベントになります。一味違う夏休みにするためのアイデアや選択肢を紹介します。

 コミュニティサークル「子連れ旅行クラブTabicco(タビッコ)」を主宰し、子連れ旅行アドバイザーとして活躍する五関亜矢子さん。8歳と2歳の子どもの母親で、元海外ツアーコンダクターの経歴を持ち、価格を抑えながら学び要素の多い旅をプランニングする「親子旅の達人」です。そんな五関さんに、子どもに主体的に関わらせ、子どものセンスを生かす親子旅のプランニングのコツを聞きました。

旅行そのものが、子どもの成長、学びの機会に

 コロナ下で、海外旅行などに出かけるのはまだ難しくても、週末やお盆休み、有給休暇などを使った2泊3日ほどの家族旅行なら実現しやすいかもしれません。せっかくなので旅行計画を通して子どもの学びにつなげたり、生きる力を身に付けさせたりする機会につなげてみるのはいかがでしょうか。

 五関さん自身は、長男が10歳になるまでに「47都道府県制覇」を目標に国内旅行を展開中で、現在(2022年5月末時点)は23都道府県まで到達したといいます。特に印象に残っているのが、四国の旅だったそう。「四国までは飛行機で行き、現地は車や公共交通機関で回りました。うどんがおいしくて、JR四国を走るアンパンマン列車に乗りました。うどんは、離乳食にもなりますし、子どもが食べやすい点が子連れ旅行向きだと思います。アンパンマン列車は、幼児はもちろん喜びますし、大歩危小歩危(おおぼけこぼけ)といった景勝地を走るので大人も旅を堪能でき、おすすめです。ちなみに四国では、日本にいながら、世界の名画鑑賞ができる『大塚国際美術館』(徳島県鳴門市)もおすすめ。内容が素晴らしいですし、小さな子どもが一緒でも見学しやすい点も良かったです」

 2022年の夏休みには、新型コロナの状況を見ながらですが、フィリピンへの親子留学か、2021年7月に新しい船ができた横須賀~新門司間のカーフェリーを利用した九州の旅を計画しているそうです。

 「子どもの成長につながる、充実した親子旅をしたい。でも、どこに行って何をすればいいのか分からない」というお悩みを持つ人に向けて五関さんは、「子どもが特に行きたい旅行先がないのであれば、行き先は基本的に、親の行きたいところから選んでいいと思います。子どもは行った先で何に興味を持つか分かりません。普段と違う旅行そのものの体験が、子どもの成長、学びにつながります」と話します。

「沖縄美ら海水族館」のジンベイザメの前で(写真提供/五関さん)
「沖縄美ら海水族館」のジンベイザメの前で(写真提供/五関さん)
次からの内容
●子どもの「当事者意識」「参加意識」を高めるための誘導は
●子どもの「学びの密度」を上げる、おススメの方法は
●自然体験を目的にする場合の穴場スポットとは
●宿泊費や交通費を抑えるための裏技
●旅先で子どもの自立心を養うための工夫とは
●「パパと子どもだけ」「ママと子どもだけ」の旅行がもたらすメリット