コロナ下で行動自粛を余儀なくされた2回の夏を経て、「今年こそはわが子の夏休みを充実させたい」と願っている共働き家庭は多いのではないでしょうか。海外旅行など長期の旅行に出かけることはまだ難しいとしても、工夫次第で過ごし方の幅はぐんと広がります。子どもが自然体験をしている間に親は仕事をする「ワーケーション」のプログラムや、親が手伝わなくても子どもだけで参加できるオンラインのワークショップも増加。週末のプチ旅行やお出かけも、子どもに部分的に企画させたり、探究を深めるためのお出かけ先を選んだりすることで、学びが多く、特別感のあるイベントになります。一味違う夏休みにするためのアイデアや選択肢を紹介します。

身近になったワーケーション 働く親ならではの不安も

 旅先などでリモートワークをする「ワーケーション」が注目を集めています。最近はリモートワークが進んだり、居住地を問わない雇用や週休3日制など、働き方の自由度が高い企業が増えて、会社員でもワーケーションがしやすくなりました。子どもの側も、受験生であっても塾の夏期講習をオンラインで受けられるなど、学び方の選択肢が増えています。旅先で授業に出ることを前提にすれば、塾などの日程に縛られずに予定を組むことができます。

 受け入れる地方の側も地域活性化の視点からワーケーション事業が盛ん。各地にコワーキングオフィスが誕生しています。この夏休みは、親子ワーケーションを選択肢の一つに入れてみてはいかがでしょうか。

 とはいえ、親が仕事をしている間に子どもをどう過ごさせるか、旅先で仕事の生産性は保たれるのだろうか、といった不安があるかもしれません。そもそも、親子ワーケーションにはどんな選択肢があり、充実した旅にするためには、どのようなことに気を付けたらよいのでしょうか。

 親子ワーケーションの企画・運営を手掛けるソトエ代表の児玉真悠子さんと、過疎化に悩む地方と都会の親子、双方の課題の解決策として親子ワーケーションサービス「EduWork Trip」を立ち上げた、凸版印刷情報コミュニケーション事業本部事業戦略本部共創企画部の小出麻由さんに、この夏初めて親子ワーケーションに挑戦する親に対して、アドバイスをもらいました。

自分に合うかどうか、短期で「お試し」がおすすめ

 2児の母として自らも毎月のように親子ワーケーションに出かけている児玉さんは「初めて親子ワーケーションに行くなら、日帰りや1泊2日の短期がおすすめです」とアドバイスをします。

 「中にはワーケーションが合わない人がいます。いきなり1週間などの長期で挑戦して、合わなかったら大変です。夏休みに長期間行こうと思っているなら、その前に日帰りか1泊でお試ししてみるとよいでしょう。日帰りでも、移動先によっては3時間くらいは仕事ができます。資格やキャリアアップの勉強でもかまいません。その後は子どもと遊ぶ。できそうだと思ったら、夏休みに本格的に計画するのがいいと思います」(児玉さん)

 事前にお試しする時間が取れない場合、夏休みに入ってから試すのでも遅くはありません。「子どもの夏休み中であれば、親子で平日に行くことが可能なので、初めの一歩を踏み出しやすいでしょう。その場合は、親の夏休みと合わせて、仕事をする日数は短めに設定するのもいいですね。また、仕事の繁忙期は避け、ある程度余裕のある時期に行うほうが安心です」

 以下では親子ワーケーション初心者の親が、知っておくべきこと、企画の際に考えるべきことなどについて具体的に聞いていきます。共働きの読者におすすめの親子ワーケーション先も紹介します。ぜひプランを練る際の参考にしてください。

学校の振り替え休日を利用して行った福岡のカフェ「MALIBU」で、児玉さんと小4の長女とのワーケーション風景。親は仕事、長女は勉強中(写真提供/児玉さん)
学校の振り替え休日を利用して行った福岡のカフェ「MALIBU」で、児玉さんと小4の長女とのワーケーション風景。親は仕事、長女は勉強中(写真提供/児玉さん)