独自の指標で「共働き子育てしやすい企業ランキング2020」を発表。上位企業とその施策を紹介します。特集の後半では、急速に働き方の多様化が進まざるを得なくなってきたなかで、私たちが「共働き子育て」をする意義とは何か、企業はどう対応していくのかなど、これからの働き方を考えていきます。

 「共働き子育てしやすい企業ランキング2020」で3位にランクインした大和証券グループ。2007年からスタートした全社19時前退社ルールの励行によって、女性だけでなく男性の働き方が変わり、業務の効率化も進みました。コロナ禍での先進的な取り組みと合わせて紹介します。

<大和証券グループ本社>
創業/1902年 本社/東京都千代田区 全国の本支店などの拠点やグローバルネットワークを通じて、個人・法人に向け、リテール、投資、資産管理など、さまざまな金融サービスを行う。傘下には大和証券をはじめ、大和ネクスト銀行、大和総研などを持つ、業界第2位の証券グループ会社。

全社員一斉に働き方を変えた

 育児中の男女が活躍できるさまざまな取り組みで高評価となった大和証券グループ。同社で特筆すべき制度は、2007年から始まった管理職を含む全社員に対しての「19時前退社の励行」です。もともと同社は、長時間労働を前提とする職場環境でした。しかし、結婚・出産というライフイベントを迎えた女性社員が長時間労働の壁の前に退職するという状況が続き、会社の持続的な成長のためにも意識と行動の変革が欠かせないという視点から、女性が活躍する働き方実現のための施策が始まったのです。

 両立支援制度を考える場合、女性だけでなく男性の働き方の改革なくしては考えられません。当時、経営トップはすべての社員が活躍するためには「時間」がキーワードと捉え、業務の効率化を伴う適正な労働時間が大事で、そのためのルールとして19時前の退社励行に至りました。残業体質が根付いていたものの、トップダウンで業務の無駄を何度も見直すうちに、社員の間でも「時間は自分でコントロールをしながら働くのが当たり前」という意識に変わっていったといいます。10年以上たった現在は、限られた時間の中で効率的に働くという意識が社員に浸透しています。

 共働き子育ての両立支援策において、男性育休の推進と、女性活躍支援策は両輪となっているものです。同社はどのようにして男性育休の取得を進め、女性が結婚や出産などのライフイベントを経ても働き続けるために、どういった取り組みをしてきたのでしょうか。コロナ禍での先進的かつ柔軟な働き方についても、次のページから紹介します。