独自の指標で「共働き子育てしやすい企業ランキング2020」を発表。上位企業とその施策を紹介します。特集の後半では、急速に働き方の多様化が進まざるを得なくなってきたなかで、私たちが「共働き子育て」をする意義とは何か、企業はどう対応していくのかなど、これからの働き方を考えていきます。

 働く女性のキャリアとライフスタイルを応援する女性誌『日経WOMAN』と日本経済新聞社グループの「日経ウーマノミクス・プロジェクト」は2020年版「女性が活躍する会社BEST100」をまとめました。今回はその部門賞として、日経DUAL独自の指標で集計した「共働き子育てしやすい企業ランキング」を発表します。

 日経DUALが2016年から続けてきた「共働き子育てしやすい企業ランキング」では、「性別に関係なく育児中社員を支援する施策が用意され、キャリア推進できているか」という点を重視しています。この視点を軸に、「育児中の男女が活躍できる」「仕事と育児の両立支援制度」「誰もが働きやすい環境づくり」の3つの項目を作成し、点数付けを行いました。

 注目した評価ポイントは以下のとおりです。

【DUAL評価ポイント】
1) 過去3年間の男性育休の割合と取得日数
2) 産育休を取得する(している・した)社員を対象に、両立支援の取り組みを実施しているか
3) 2)の両立支援の取り組みには、社員の配偶者も面談やセミナーなどで巻き込んでいるか
4) 月ごとの残業時間が短いか
5) 恒常的な残業を削減する取り組みを行っているか
6) 働き方の多様性を進めるための施策があるか
7) イクボスを増やす取り組みを実施しているか
8) 保活サポートや職場内保育園、ファミリーデー実施など育児中の社員向けの取り組みがあるか
9) 男女関係なく活躍推進のために実施しているキャリア教育を受ける機会があるか

 配点は、「育児中の男女が活躍できる」「仕事と育児の両立支援制度」「誰もが働きやすい環境づくり」の3つの項目に沿って行いました。本調査のアドバイザー3人(中央大学大学院戦略経営研究科教授の佐藤博樹さん、育休後コンサルタントの山口理栄さん、東レ経営研究所 ダイバーシティ&ワークライフバランス推進部 チーフコンサルタントの塚越学さん)と日経DUAL編集部の加点で、200点満点でランキング化しました。

「育児中の男女が活躍できる」

・正社員の女性比率を加味した男性育休の取得率
・男性育休の取得率・取得日数と平均年間総労働実数時間の関係
・役員、部長、課長相当職などの管理職で子どものいる女性社員数
・過去3年で、管理職になった後に育児休業を取得した女性社員数
・育休復帰後に昇進した女性社員数
・働き方の多様性を進めるために実施している施策や制度(テレワーク、在宅勤務、フレックスタイム制度など)
・男性社員の育休取得や育児を推進するための施策
・育休を取得する社員の目標設定・キャリアプランについての面談
・非正社員の育休分割取得
・非正社員に向けた育児と仕事の両立支援策
・イクボスを増やすための取り組み

「仕事と育児の両立支援制度」

・保育園に入る活動をサポートするシステム
・職場内に保育園施設の設置
・シッター会社を法人契約するなどの補助
・子育て中の社員の両立を支援する目的のネットワーク
・ファミリーデー
・出産一時金など祝い金制度

「誰もが働きやすい環境づくり」

・男女の平均勤続年数の差
・女性の係長やプロジェクトリーダーの比率
・女性の管理職の数値目標
・有給取得率
・年間所定外労働時間
・残業時間削減のための施策と働き方の多様性
・過去1年で介護休業を取得した社員数
・介護休業制度についての社内での啓蒙活動
・社員のストレスマネジメントやハラスメント対策の取り組み
・女性の活躍推進やダイバーシティ推進
・LGBTの社員が働きやすい環境
・不妊治療支援制度
・経営トップによる、経営ビジョンや経営方針の共有

■調査概要/『日経WOMAN』と「日経ウーマノミクス・プロジェクト」が「企業の女性活用度調査」を実施。2020年1月~2月中旬に上場企業など国内有力企業4449社を対象に調査票を送付し、542社から回答を得た。