女性のキャリアとライフスタイルを応援する女性誌『日経WOMAN』(日経BP)と日本経済新聞社グループを挙げて女性の社会参画を応援する活動である「日経ウーマノミクス・プロジェクト」は2022年版「女性が活躍する会社BEST100」をまとめました。本記事では、その部門賞として、DUAL独自の指標で集計した「共働き子育てしやすい企業ランキング2022」を発表。今年4月から取得推進が義務化された男性育休への取り組み状況や、男女ともに子育てしながら働きやすい施策の有無などに着目し、独自評価しました。

 昨年の11位から順位を大きく上げ、「共働き子育てしやすい企業ランキング2022」で1位となった、ゆうちょ銀行。2016年度よりダイバーシティに関する取り組みを本格化し、2017年には11.5%だった女性管理職比率が2021年には15.7%にまで上昇。育休取得率は男女ともに100%を達成しました。男性育休100%を実現できた理由や、女性活躍推進につながった施策などを紹介します。

<ゆうちょ銀行>
設立/2006年(2007年に現在の商号に変更) 本社/東京都千代田区
日本郵政グループの一社として、全国に展開する郵便局ネットワークを通じ、総合的な金融サービスを展開。通常貯金口座数は約1億2000万口座、総貯金残高は約190兆円に上る。

ダイバーシティ実現にはイクボスが不可欠

 日本郵政公社の民営・分社化に伴い、ゆうちょ銀行が開業したのは2007年10月のこと。それまでは公企業だった同行では、男女で職務内容に違いはなく、「女性活躍推進よりも世代間ギャップをいかに埋めるかが課題だった」と、2016年7月から執行役ダイバーシティ推進部長を務める牧野洋子さんは振り返ります。

 「ダイバーシティを推進する上で目指したのは、仕事優先で働いてきた世代の男性管理職が、子育て世代の社員に対しては価値観をシフトさせ、ワーク・ライフ・バランスを重視した働き方を推奨できる組織づくりです。誰もが働きやすい職場を実現するにはイクボスの存在が不可欠だと考え、イクボス養成に積極的に取り組んできました」(牧野さん)

 2017年度には、代表執行役社長をはじめとする各組織のリーダーが「ゆうちょイクボス宣言」を行うとともに、「育休を取る部下にどう接するか」といった内容を含む管理職向けのダイバーシティ(イクボス)研修を開始。2018年度からは、イクボスとして必要な知識や考え方を問う「ゆうちょイクボス検定」を管理職に対して実施しています。

 「イクボスの考え方が浸透したことで、それまで昔の体育会系の働き方をしていた営業店の店長からも『女性が働きやすい職場は、男性にとっても働きやすいんですね』といった言葉が聞かれるようになりました。テレワーク等で勤務形態の自由度を高め、ライフステージに応じて働き方の緩急をつけられるようにする。このようなダイバーシティ・マネジメントは、女性のみならず多様な社員が活躍できるようにするために欠かせないことですし、慣習にとらわれず本来目指すべき職場のあり方を考えることにもつながるように思います」(牧野さん)

 同行のイクボス養成の成果は、男性育休取得率100%を達成、女性管理職比率の上昇といった数字にも表れています。次のページからは、これらの成果につながった具体的な施策を紹介します。