働く女性のキャリアとライフスタイルを応援する女性誌『日経WOMAN』と日本経済新聞社グループの「日経ウーマノミクス・プロジェクト」は2021年版「女性が活躍する会社BEST100」をまとめました。今回はその部門賞として、DUAL独自の指標で集計した「共働き子育てしやすい企業ランキング」を発表。特集では、上位企業とその施策を紹介します。

 「共働き子育てしやすい企業ランキング2021」で2位にランクインした日立製作所。女性活躍だけではなく、外国籍社員の登用も促進するダイバーシティ&インクルージョンの取り組みが着実な成果を上げています。その具体的な施策のほか、コロナ下におけるニューノーマルの働き方の鍵を握るテレワークに関する取り組み、「ジョブ型」人事制度のポイントなどを紹介します。

<日立製作所>
設立/1910年 本社/東京都千代田区
モノを動かす「制御・運用技術」、データを処理する「情報技術」、モノづくりを担う「プロダクト・システム」を組み合わせた事業を国内外で広く展開。モビリティ、ライフ、インダストリー、エネルギー、ITの5分野を通じて社会課題の解決に取り組む。グループ会社を含めた従業員数は約30万人、売上収益は8兆円を超える。

女性管理職、役員の女性・外国人比率の目標を達成

 日立製作所は2021年3月、約1兆円を投じて米IT企業グローバルロジックを買収すると発表しました。日立製作所はリーマン・ショック後の2009年3月期に7873億円の最終赤字を計上したことをきっかけに大きく経営戦略を転換し、以降グローバル展開に向けてかじを切っています。グローバル化に向けての事業再編と併せて見直すべきが、従来までとは異なる人材マネジメントでした。

 2012年に公表した「ダイバーシティ for NEXT 100」では、ダイバーシティを人事施策ではなく経営戦略と位置付けました。人財は「イノベーションの源泉」「成長エンジン」であり、性別・国籍・人種・宗教・バックグラウンド・年齢・障がいの有無・性的指向などの多様性は個性として尊重し、組織の強みとなるように生かすことが大事、ということをトップダウンで発信したのです。

 2000年から着手している女性活躍の分野では、「2020年度末までに女性管理職(日立製作所単体)を800人に増やす」「役員における女性と外国籍の人の比率をそれぞれ10%にする」という目標を設定しました。実際、2020年10月時点で女性管理職は目標の800人に到達。2021年4月時点で、役員層における外国人比率は11.4%、女性比率は10%となり、こちらも目標を達成しました。

 どのようにして女性管理職比率の目標達成を進めたのでしょうか。次のページからは、女性管理職比率をアップさせる施策や、男性育休の取得率アップにもつながっている両立支援策、テレワークの効率化とメリハリのある働き方を支援する独自の仕組み、グローバル化戦略の一つでもある「ジョブ型」人事制度のポイントなどを紹介します。