働く女性のキャリアとライフスタイルを応援する女性誌『日経WOMAN』と日本経済新聞社グループの「日経ウーマノミクス・プロジェクト」は2021年版「女性が活躍する会社BEST100」をまとめました。今回はその部門賞として、DUAL独自の指標で集計した「共働き子育てしやすい企業ランキング」を発表。特集では、上位企業とその施策を紹介します。

 昨年の2位から順位を上げ、「共働き子育てしやすい企業ランキング2021」でトップに輝いた千葉銀行。女性リーダー職・管理職の比率は上昇を続け、男性育休取得率は2018年度から3年連続で100%を達成しています。育休中の職員をどのようにサポートしているのかを紹介します。

<千葉銀行>
設立/1943年 本店/千葉県千葉市
千葉県内の貸出金シェアは約40%、預金シェアは約25%。東京・埼玉・茨城・大阪のほか、海外にも店舗を持つ。単独の地方銀行として全国第3位の資産規模。

男性育休取得率は3年連続100%、質を上げる取り組みも

 男性も育児をすることが当たり前の風土をつくっていくには、職場、特に上司の理解が必要不可欠です。千葉銀行では、管理職向けにイクボス研修を実施し、全ての所属長が「イクボス宣言」を行うことで部下が働きやすい環境づくりにつなげています。

 2020年度には、新たに所属長に対する行動評価に「ダイバーシティ」の項目を追加。ダイバーシティ推進部の新井仁美さんは「職場へダイバーシティの浸透を図るには所属長からの働きかけがとても大切です。全社一丸となって取り組む課題であることを部下に示し、職場単位での取り組みが進むように、行動評価の項目に加えました」とその意図を話します。

 同行では、2018年度から3年連続で男性の育休取得率100%を達成しました。四半期ごとに対象者のリストを送付し、所属長から取得を勧める取り組みや、5日以上の取得者へのお祝い金制度、「男性の育児参加ガイドブック」や「産後間もないママのサポートブック」による情報提供などにより、「育児は女性だけのものではない」という雰囲気が形成されつつあります。

 また、育休取得する男性は事前に育児参画計画書「仕事も育児もすてきなパパ宣言」を所属長に提出します。産前・産後・パートナーの復職後の各段階で、具体的に自分が何をするかを本人が考えることを狙いとしています。

 昨年から、育児休業の「質」を向上させるための施策をスタートさせました。「当初は、まずは男性にも育休を取ってもらうことから始めようという方針でしたが、現在は育休期間をいかに充実して過ごしてもらうか、さらには育休をきっかけに、長く関わり続ける育児と生産性の高い働き方との両立を実現してもらうためのサポートに軸足を移しています」

 その一例として、昨年9月にオンラインで開催した両立支援セミナーがあります。同行では毎年夫婦参加型の両立支援セミナーを開催しており、2020年度は「名もなき家事」(家事のうち「料理」や「掃除」、「洗濯」などのように具体的な名称のないもの)について取り上げました。「セミナー当日はワークショップで『名もなき家事』を見える化して家事分担を考えたり、家族がひとつのチームとなって課題を解決していくことを目指しました」(新井さん)

 この『「名もなき家事」の見える化プログラム』は、ダイバーシティ推進委員会のメンバーの提案によるもの。同委員会は人事担当役員を委員長として、本部・営業店の所属長・管理職・スタッフ層の男女など、多様な属性のメンバーで構成されています。職場の多様な視点・意見をスピーディーに拾い上げ、施策に反映する組織であり、これまでに妊娠中の体調不良や不妊治療のための休暇制度、育休復帰に向けた「慣らし勤務」を行う「育児のための短日勤務制度」の創設など、約60の施策につなげてきました。