グローバル化、ICTの発達に伴う社会構造の変化、コロナ禍による経済縮小や価値観の変化…。社会全体が大きな変革のときを迎える中で、今、未就学児や小学生を育てている親は、子どもの進路に関して、何を軸にどう考えていけばいいのでしょう。中学受験や高校受験に関して、今知っておくべきことは何でしょうか。専門家への徹底取材を通じて得た最新事情をお伝えします。

 名のある大学を出ることで社会的地位が決まるとされる学歴社会。大学入試改革が混迷する中、大学までエスカレーターで進学できる大学附属校に人気が集まっているのも、そうした学歴主義を表しているといえるでしょう。

 一方で、さまざまな仕事がAIに取って代わられていくなど社会がこれまで経験したことのない局面にあっては、「有名企業に就職すれば安泰」といった価値観も大きく変わりつつあります。「偏差値だけで子どもの進路を決めていいのだろうか」と、迷いを抱いている人は少なくないかもしれません。

 「今の子どもたちは、これまで親が経験したことのない厳しい時代を生きていくことになります。仕事などで海外に目を向ける機会の多い人などの中には、こうした今後の社会の変化を見据え、難関校など有名大学への進学実績の高い学校などより、例えば、偏差値ランキングにおいてはそこまで上位でなくても、グローバル人材育成に力を入れる学校に目を向けるなど、偏差値以外の基準で学校選びをする人も増えてきています」

 そう語るのは、安田教育研究所の安田理さんです。偏差値を重視した進路選びが「守り」であるとするなら、グローバル教育など、偏差値以外の基準で学校選びをすることは、ある意味「攻め」。見据えているゴールは「大学」ではなく「社会」です。大学の就職活動で初めて「自分は何がしたい?」と自問自答するのではなく、とがったスキルを磨くべく逆算して学校選びをしていくのです。

 今回は、「社会から逆算して進路を考える場合の選択肢」の3つのコースに注目しました。

1、グローバルに活躍するための海外大学進学を見据えた「グローバルコース」
2、実践的な英語とビジネススキルを身に付ける「ビジネスコミュ二ケーションコース」
3、工芸・美術・舞台芸術などのスキルを身に付ける「専門職コース」

 例えば、グローバルに活躍するための海外大学進学を見据えた「グローバルコース」の場合。中学受験をして私立や公立の中高一貫校へ行く、または、公立中から都立高校へ進み本格的なグローバル人材育成に力を入れている大学へ行くなどの選択肢があります。

※ 選択肢を簡潔に示すため、公立中学から私立高校のルートについては省略しています(日経DUAL作成)
※ 選択肢を簡潔に示すため、公立中学から私立高校のルートについては省略しています(日経DUAL作成)


 また、工芸・美術・舞台芸術などのスキルを身に付ける「専門職コース」では、5教科以外の芸術や音楽などの科目で得意分野を持つ子どもが「この道に進みたい!」と心に決め、公立中から都立高校へ進んでさらに得意分野を伸ばし、確実に将来につなげていくこともできます。それぞれのコースにおける具体的な学校名は、 2ページ目以降で専門家に紹介してもらいます。