仕事、子育て、夫婦関係…どれも「失敗したくない」ですよね。でも、キャリアに傷がついたら取り返せない? 親は完璧な見本でなければならない? いえいえ、きっとそんなことはないはず。親だって社会人だって人間だもの、失敗してもいいじゃない! この特集では、活躍する人たちの失敗談などに学びながら、失敗との向き合い方や、自分らしい乗り越え方についてのヒントをお届けします。

クセで、反射的に子どもとの会話をしていないか?

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 他人の子どもであれば、「仕方ない」と思えるのに、なぜか、自分の子どもだとイライラする。「言いすぎた」と反省するのに、結局、また同じようにガミガミ叱ってしまう。子育て中の親であれば、こうしたことは、「あるある」の失敗談かもしれません。

 「おそらく多くの親御さんが実感しているのではないでしょうか。わが子とは距離が近い分、自分と同一視してしまいなかなか冷静に見られません。そのため、多くのことを求め過ぎて、子どものできている部分よりできていない部分ばかりが目についたり、親が教えた通りの手順でやらないと、厳しく叱ったりするようなことが起こりやすくなるでしょう」

 こう語るのは、家庭教育支援・不登校支援を行う、家庭教育支援センターペアレンツキャンプのチーフ家庭教育アドバイザー、山下真理子さんです。ペアレンツキャンプのサポートでは、「家庭ノート(親子の会話ノート)」を書いてもらい、親の対応の改善点に気づいてもらうといいます。しかし、それを親自身でやろうとすると、気付くのは難しく、もし気付くことができても、叱り方を変えるまでにはなかなか至らないといいます。

 「家庭教育支援を行う上で感じるのは、親御さんの多くが子どもとの会話においてノーシンキングなことです。『普段、子どもとどんな会話をしていますか?』と聞くと、ほとんどの人は内容を覚えていません。疲れていたり忙しかったりすることもあり、クセで、反射的に子どもと会話をしているのでしょう。同じような対応を繰り返し取ってしまうのもそのためではないでしょうか」

 ときには、子どもとのやりとりが上の空になることもあるかもしれません。しかし、「同じことで何度も叱責して後悔する」というループから抜け出したいなら、ここでしっかり、親子のやりとりを振り返りたいところ。

 次のページから、山下さん、そして、臨床心理士・公認心理師で認知行動療法の専門家である松丸未来さんに、子どもを叱り過ぎてしまったり、同じ叱責を何度も繰り返してしまったりする失敗を繰り返さないための、3つのステップを解説してもらいます。