思いもしなかった落とし穴にはまった人も

 「思い切り働きたい」という思いがありながらも、現実は時間的な制約が大きく、気持ちが空回りしてしまうこともあるDUAL世代。頑張りすぎて体調を崩した経験から、大切なことを学んだという人もいます。

睡眠時間を削って仕事、体調を崩す

 育休復帰後は子どもとの時間を第一にするため時短勤務で復帰し、約1年後、出産前に所属していた部署に時短勤務の管理職として配属。産前と同じパフォーマンスを時短で達成する必要があるのだと思い込みました。クライアント対応も100%の形で行いたかったし、予算達成もしたかった。どちらも産前はできていたのに、復帰後はうまくできませんでした。

 子育てをしながら仕事で成果を出すには、「子どもが寝てから仕事するしかない」という考え方になり、睡眠時間を削って仕事。その結果無理がたたって、人生で初めて精神的な負担から体調を崩してしまいました。

画像はイメージ
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 産前は時間が無限にあり、また人のミスで自分が謝るのが嫌だった(笑)こともあって、自分で仕事を抱え込むクセが強かったと思います。でも、あるときなじみのクライアントさんから「あなたの仕事は、仕事をしないこと。自分でやらないこと。できることをできる人がやっていたら、ずっとチームが育たない。あとお母さんが完璧な人だったら子どもはしんどくなる。時間がなくて100%の力を出しきれなくてしんどいのは分かるけど、今はそういう時期だと受け入れたほうがよい」という言葉をかけてもらいました。

 その瞬間、スッと肩の力が抜けたことを覚えています。そこから少しずつ自分の持っている仕事を部下に渡すようになりました。

 時間にも体力にも限界があることを受け入れ、妊娠や出産でキャリアを中断することを「キャリアダウン」ではなく、人生のステージにおいて「キャリアアップ」していると捉えること。今は管理職として、出産・復帰を経験するメンバーに対して「育児をしながら復帰する人のミッションって何なのか」を明確にしてあげ、手助けできるよう心がけています。(マクビープラネット マネージャー 吹場由衣さん/4歳のママ)

 予想もしていなかった仕事上のトラブルを経験し、そこからリカバリーした人もいます。

契約の甘さから売上金500万円が未回収に

 いわゆる「小一の壁」に備えて、子どもが小学校に入学すると同時にPR会社を起業。周りの方にサポートしてもらいましたが、起業1年目は分からないことだらけで、詰めが甘い部分がありました。

 それが露呈したのが、契約書です。1期目に担当したクライアントからPR代金が支払われないという事件がありました。元々知り合いだった相手で、すでにメディアアプローチなどに数百時間を費やし、いくつも取材獲得やメディア露出をサポートしていたので、まさかPR代金が支払われないとは想定していませんでした。しかし先方は「支払いません」の一点張り。その額、概算で約500万円。当時の私にはかなりの痛手でした。

 すぐに税理士さんに相談し、訴訟になった場合に備えて、メッセージ履歴などをすべて写真で記録、USBメモリーに保存しました。ただ、振り返れば私自身にも、きちんと契約書を交わしていなかったという落ち度がありました。さらに、起業当時の私は、自分のホームページに金額を提示していませんでした。そのことで相手に「知り合いだから無料でやってくれるだろう」という期待を抱かせてしまったのかもしれません。

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 この件に関しては高い勉強代を支払ったと思って、2年目からは経営方針を見直し、「ホームページにしっかり金額を提示する」「契約書を交わす」を徹底。SNS経由などで知り合いから仕事を依頼されても、「最初に金額を提示する」「知り合いだからという理由で安易にPRを受けない」「自分の仕事を安売りしない」をルールにしたら、ぐんぐん売り上げが向上しました。

 経営は、ゲームとは違う。知人に対しては、厳しいかもしれませんが一線を引き、ルールを決める。そして、そのルールを徹底するようにしています。(未来イメージ代表 加藤朋子さん/8歳のママ)