子育てや教育について「何か違う気がする」とひっかかることがあっても、じっくり考えることなく、そのままにしてしまっていませんか? 「とりあえずみんなと同じ」道を選択して安心しようとしている人もいるのではないでしょうか。

しかし、何かひっかかる背景には、自分の価値観とずれがあったり、社会的な問題が隠れていたりすることも。そうしたモヤモヤに向き合い、問題の本質を明らかにして考えることが、周囲に流されない子育てにつながっていくはずです。そこで本特集では、働く親が抱くモヤモヤについて、専門家に「そもそも、どうしてそうなっているの?」の疑問をぶつけました。ぜひわが子の子育て・教育のヒントにしてください。

子育て・教育のギモン 「そもそも」が知りたい!

「お金には不自由させずに育てた」結果…

 今のところ金銭的に大きな不安はないけれど、とにかく忙しくて時間がない。そこで、家事ヘルパーやシッターを頼む、タクシーを頻繁に利用する、買うべきものはあまり値段を比べずにすぐに買う……など、「時間をお金で買う」ことで日々を乗り切っている。子どもには旅行やお出かけでさまざまな経験をさせ、塾や習い事にお金をかけることにはちゅうちょしない。よりよい教育環境をと、私立小学校や私立中学を目指している……。

 二馬力の共働きのお金事情は、子どもが低学年くらいまではこんなところでしょう。特に子どものことにはお金を惜しみたくないという親は少なくありません。

 しかし、親の「よかれ」という気持ちで、一部の子どもの価値観に思いがけない弊害が生じているようです。DUALの取材活動の中でも、「欲しいものはすぐ買ってもらえると思っている」「買ってもらった/人からもらったものを大切にしない」「私立に通っている自分は特別だと思い、公立に通う友達を下に見ている」「高いものを買ってもらった、すごいところに旅行した、といった特別な体験を他の子に自慢する」といった態度を取るわが子への悩みが聞こえてくるからです。それと共に、今の格差社会についてどう伝えるか、どう関わっていくべきかの答えが見つからないという声もあります。

 今はさまざまな背景を持った人と互いに尊重し合う、インクルーシブな社会づくりが世界的に求められています。その中で子どもたちに無意識にでも特権意識を持たせたり、排他的な態度を取らせたりせず、社会の一員としての果たすべき役割を教えるにはどうしたらよいのでしょうか。そもそも、お金の価値とは何なのでしょうか

 そこで、子ども向けのマネー教育の著書があり、3人の子の父でもある公認会計士の田中靖浩さんに、子どもに伝えるべき社会での役割やその伝え方、お金の価値、他者との関わり方について聞きました。

 田中さんは親が抱える問題について次のように話します。「高所得層と低所得層といった格差が生じるのが資本主義社会です。格差が広がる今の社会で、それをよしとするかどうかは政治的にも難しい問題です。親たちはそんな問題に家庭内で向き合わなければならない状況にあります。もしも親がごまかしたり逃げたりしようとすれば、子どもは格差が当たり前だと思ったまま社会人になるでしょう。そんな育て方をしてしまうのは、子どものためになりません」

 だからといって「言葉を尽くして説明せよ」ということでもないようです。まずは、社会の一員としてどう振る舞うべきか、幼い子どもにも伝わる方法から聞いていきましょう。

そもそものギモン:格差のある社会で子どもをどう育てる?

●特権意識がある子、排他的な態度を取る子に、社会の一員として果たすべき役割を教えるには?

●お金やものを大切にできない子、お金で解決できると思っている」子に「お金」の価値を伝える方法は?

●個を尊重する時代に、困っている他者とどう関わればいい?

次ページから読める内容

  • 価値観は親が行動で伝える
  • 「稼ぐ」と「使う」のバランスが大切
  • いい学校だけがすべてではない
  • 困っている人の「痛点」を理解し、支援を

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