平成の就職氷河期の中で社会人になった「ロスジェネ世代」(ロスジェネはロスト・ジェネレーションの略)。非正規雇用の人が増えて格差が拡大し…そんな世代論は聞き飽きた! という人もいるでしょう。でも、ちょっと待って! この世代は、働き方を模索しながら社会のデジタル化にいち早く対応、共働き子育てを実践してきた、実はパワーあふれる世代でもあるのです。私たちは、ここからまだまだ頑張れる。子育てしながらどうキャリアを伸ばす? どんなリーダーになる? 下の世代とうまく働くには? 「100年人生」を見据え、幸せに働くノウハウを探ります。

幸せに働く条件は「何かに貢献できること」。目指す人材像は?

 特集5本目では、ロスジェネ世代が下の世代と働く際の強みの生かし方について、人事のプロとして活躍するカドル代表取締役の澤田清恵さんに聞きました。最終回の本記事では、仕事人生の第2章に向けて、ロスジェネ世代がどのようなことを準備すべきかを、引き続き澤田さんに聞いていきます。

 仕事人生の第2章が始まるのは55歳前後ですが、会社によっては、その前後くらいから早期退職を促されたり、役職手当を減らされたりして、やりがいのない仕事をすることになる可能性もあります。

 55歳前後といえば、100年人生のまだ折り返し地点。それなのに、そのようなさみしい状況に陥らないようにするために、澤田さんは次のように提案します。

 「ロスジェネ世代が幸せに働き続けるためには、何かに貢献できる存在になることが絶対条件。そのためには、仕事人生の第2章までに『たこ足型人材』を目指しましょう。たこ足型人材になるために不可欠なのがスキル貯金です。

 ただ、スキルはすぐには貯まりません。最近は多くの企業がセカンドキャリア支援に取り組んでいますが、会社が支援を始めるのを待っていては間に合わない可能性があります。子どもがまだ小さいうちは大変かもしれませんが、40代ならいますぐに。30代であってもなるべく早くスタートしましょう」

 澤田さんは「たこ足型人材」とは、海のたこのように足(専門性や教養)がたくさんある人材のことだと言います。なぜ、足がたくさんあるほうがいいのか、足を増やすためには、どのようなスキルを「貯金」していけばいいのか、次ページから詳しく聞いていきます。