平成の就職氷河期の中で社会人になった「ロスジェネ世代」(ロスジェネはロスト・ジェネレーションの略)。非正規雇用の人が増えて格差が拡大し…そんな世代論は聞き飽きた! という人もいるでしょう。でも、ちょっと待って! この世代は、働き方を模索しながら社会のデジタル化にいち早く対応、共働き子育てを実践してきた、実はパワーあふれる世代でもあるのです。私たちは、ここからまだまだ頑張れる。子育てしながらどうキャリアを伸ばす? どんなリーダーになる? 下の世代とうまく働くには? 「100年人生」を見据え、幸せに働くノウハウを探ります。

 転職サイトなどを運営するビズリーチの代表取締役社長、多田洋祐さんは1982年生まれのロスジェネ世代です。大学卒業後にヘッドハンティングファームを創業して以降、ロスジェネ世代の「働く」に関わり続け、昨年は社長就任直後に、1カ月間の育休を取得。共働き子育てを実践するうえで感じていることや、ロスジェネ世代の強み・弱み、「働く意義」などについて聞きました。

ロスジェネ世代の強み、弱みとは?

DUAL編集部(以下、――) ロスジェネ世代は就職氷河期を経験し、終身雇用に頼らず転職も当たり前の時代を生きてきました。さらに最近では一部企業でジョブ型雇用が導入されるなど、働き方に関して大きな波を経験しています。ご自身もロスジェネ世代である多田さんは、この世代の強みや弱みをどう分析しますか?

多田洋祐さん(以下、敬称略) 僕は2006年にヘッドハンティングファームを創業してから、これまで5000人以上の転職者面談をしてきました。そのなかで感じたロスジェネ世代の強みは、就職氷河期を経験していたり、雇用環境が不安定だったりしたぶん、キャリア形成を会社に依存しないところだと思います。キャリアを主体的に捉えて「今以上に力をつけるためにはどうしたらいいか」と能動的に考えている世代なのではないでしょうか。

―― 「会社に入ったら安心」と思えないからこそ、主体性が身に付いているのかもしれないですね。では弱みはどんなところだと思いますか?

多田 就職氷河期という、本来の能力を評価されにくい時代背景の影響で、 就職活動時に「面接で落とされる」という経験を多くしたために、過度に自信を失っている人が多いかもしれません。

―― DUALがロスジェネ世代を対象に行ったアンケートでも、「私たちは他の世代よりも損をしてきた」という回答が7割近くに上り、自己評価が非常に低いのが特徴的でした。この世代が幸せに働いていくためには、どんな姿勢が必要なのでしょうか?