平成の就職氷河期の中で社会人になった「ロスジェネ世代」(ロスジェネはロスト・ジェネレーションの略)。非正規雇用の人が増えて格差が拡大し…そんな世代論は聞き飽きた! という人もいるでしょう。でも、ちょっと待って! この世代は、働き方を模索しながら社会のデジタル化にいち早く対応、共働き子育てを実践してきた、実はパワーあふれる世代でもあるのです。私たちは、ここからまだまだ頑張れる。子育てしながらどうキャリアを伸ばす? どんなリーダーになる? 下の世代とうまく働くには? 「100年人生」を見据え、幸せに働くノウハウを探ります。

 特集1本目では、読者485人へのアンケート(2021年3月実施)の結果から、ロスジェネ世代の意識について紹介しました。今回は、世代研究のスペシャリストでマーケティングアナリストの原田曜平さんに、ロスジェネ世代の持つ「底力」と今後の可能性について聞いていきます。

人口が多いことが最大のメリット

 ロスジェネ世代の定義には諸説ありますが、一般的には1970年~80年代前半生まれの人がここに当てはまると言われます。「この世代の最大の特徴は、なんといっても『人口が多いこと』です」と原田さん。

 「この世代には、71年~74年の第2次ベビーブームで生まれた『団塊ジュニア』と、その後に生まれた『ポスト団塊ジュニア』が含まれます。いずれも今の若者層より出生数が多く、受験、就職活動などでは限られた枠を奪い合う激しい競争を経験してきました。右肩上がりの時代が終わった後に社会に出て、自分たちは割を食っている『貧乏クジ世代』という意識も強く、現実の厳しさをよく知っている人たちです。このため、今の若者層よりもたくましさやハングリー精神があります

 「ロスジェネはあらゆる意味で時代の『はざま』を生きてきた世代」と原田さんは言います。中でも特徴的なのが「社会のデジタル化」と「女性の社会進出の一般化」という観点。時代の過渡期を生きるロスジェネ世代だからこそ、「担える大切な役割がある」と原田さんは言います。次のページから原田さんに解説してもらいます。

 さらに、これからの令和の時代は「ロスジェネ世代が主役になり得る」と原田さん。一体どういうことでしょうか? 4ページ目で解説します。

世代の分け方には諸説ありますが、この企画では1965~1969年生まれを「バブル世代」、1970~1982年生まれを「ロスジェネ世代」としています。またデロイト トーマツ グループの調査を参考に、1983~1994年生まれを「ミレニアル世代」、1995~2003年生まれを「Z世代」としています。

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