新型コロナウイルス感染拡大を背景に、テレワークの利用が急速に広がっています。以前から、働き方改革に伴う生産性の向上・効率化で、会議や打ち合わせといった職場での対面コミュニケーションの機会が減りつつありますが、ここに来てそうした傾向はさらに顕著化していくでしょう。仕事の悩みを一人で抱えたり、上司、部下、同僚とうまくコミュニケーションが取れず、ストレスをためることもあるかもしれません。職場の人間関係を円滑にするための方法やテレワークの進め方などを紹介します。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止で、最近テレワークを始めた、という人は少なくないでしょう。出社して働くことが当たり前だった職場では、お互いの顔が見えない状態で働くことに戸惑う人は多いようです。休校や休園などで子どもが家にいると、「テレビ会議のときに静かにしてくれるか毎回不安」などの悩みを抱える人も多いかもしれません。

10年間のテレワーク経験を蓄積した企業のノウハウ

 この記事では、テレワークで管理職や部下の人が抱えがちな、人間関係に関わる「あるある」悩みに焦点を当てて見ていきます。

 「テレワークではコミュニケーションが難しい、会議がやりにくい、などの悩みは、さまざまな企業の方から寄せられます」と、サイボウズのチームワーク総研・シニアコンサルタントのなかむらアサミさん。同社は、2010年から在宅勤務制度という名称でテレワークを導入開始、ノウハウを蓄積してきました。なかむらさんは研修講師として、テレワークなど多様な働き方を採用する職場におけるチームワークのつくり方などを社外の人に教えています。

 「テレワークを成功させるには、『制度』『ツール』『風土』の3つが、どれも欠けることなく、車の車輪のようにうまく機能していることが大切です。弊社の場合は『今から仕事します』とグループウエア上で連絡すれば出社扱いになります。そのような社内制度はもちろん、ビデオ会議やチャットなどオンラインの多様な手段で上司や同僚とコミュニケーションが取れる環境が整っていることが成功のための前提となります」

 では、下記のよくある悩みについて、なかむらさんに回答してもらいましょう。

テレワークの「あるある」悩み ◆管理職の悩み Q チームメンバーがちゃんと働いているのか不安 Q テレワークではダメ出しをしにくく、部下を育てるのが難しい Q チームの目標やビジョンを共有する方法が分からない ◆部下の悩み  Q 孤独感を覚えて、ネガティブ思考になる Q 上司の指示が分かりにくい Q 「今日連絡する」と言われてそわそわ待つが、連絡が来ずイライラ