男性育休の取得推進が企業で義務化されるなど、日本全体で男性の育児を後押しする動きが広がりつつあります。パパたちの中には「もっと積極的に育児をしたいのに、なかなか思い通りにできない」と、職場環境などとのギャップに不安を抱え、もやもやしている人もいるでしょう。パパの子育てを阻む社会構造を明らかにするとともに、当事者たちのもやもやを取り除くヒントを紹介します。

「パパの子育て」を阻む本当の原因は

 子育てをママともっとシェアしたいと思っていても、「社内で同僚や上司の理解が得られない」「育児をしやすい仕組みが整っていない」という点で困っているパパもいるのではないでしょうか。

 中でも、パパが管理職で部下を持ち、マネジメントをしているような場合は、「自分が抜けては仕事が回らなくなる」「自分が抱えている業務を他の人に引き継ぐだけでも大変なので、育休を取るのは面倒くさい」「キャリアを中断するのが怖い」といった不安や、肩身の狭さを感じることがあるかもしれません。

 前編ではメーカーに勤める、ある管理職パパの「仕事を手放すことに不安がある」という「もやもや」を深掘りすると同時に、戦略系コンサルティングファーム、ドリームインキュベータ執行役員の野邊義博さんのアドバイスを紹介します。野邊さん自身、お子さんの保育園時代は「午後5時15分退社」の時短勤務をしながらキャリアを積み上げてきた、育児する管理職パパの先駆者でもあります。

異動と昇進、育休取得が重なるという事態に

 まずは自身の異動と昇進、育休取得のタイミングが重なってしまったパパのお悩みです。

●ケース1:藤岡英明さん(仮名・30代後半・メーカー・子ども1歳)

 「過去にダイバーシティー関連の部署にいたため、男性が育休を取ることは当然だと思っていました。2019年に結婚したときから当時の女性上司には『育休を取りたいです』と話し、『いいじゃない』と賛同を得ていました。

 20年6月に第1子が生まれ、7月から育休を取ろうとしたところ、6月に別の部署に異動、それと同時に課長職に昇進しました。ところが、新部署の上司は『育休を取るとは聞いていない』『男なのに育休取るの?』と。

 自分も部内のマネジメントをするようになり、自分が判断しなくては進まない類の業務が増えたので、育休で抜けると職場に迷惑がかかるのではという不安から、すぐには育休取得に踏み切れませんでした。部内の調整ができて、育休が取れたのは9月の半ばからでした。

 妻には『一番大変な新生児の時期に育休を取れないなら、もういい。遅いよ』と言われ、自分自身も『もう取らなくていいか』と、一瞬迷いましたが、初志貫徹で2カ月間の育休を取りました。部署では自分よりも年上の男性部下が多いのですが、ただ1人の女性部下が『ぜひ、取ってください! 社内に新しい風を吹き込んでください』と応援してくれたのは心強かったですね。聞けばその女性は部内で子育てに対する理解が得られない中、仕事と育児を両立するのに頑張ってきたそうです。今後は部下が子育てに関する相談を言い出しやすい部署にしようと思いました。

 幸い、このときは上司と僕との間にもう1人の上司が入って調整してくれ、自分が2カ月休んでいる間も何とか職場を回すことができました。

 当初の予定よりも遅れてしまいましたが、結果的に、育休は取ってよかったです。おむつ替えや寝かしつけ、予防接種などに付き添うことができ、妻も喜んでくれました。

 今年8月に第2子が生まれるので、今度は3カ月くらい育休を取る予定ですが、1回目の育休で間に入ってくれた上司が異動してしまったので、以前よりも調整が難しいです。上司への念押しをしつつ、前倒しできる仕事は進め、3カ月の間に、自分がいなくても進めるべき案件、保留したままにしておいても大丈夫な案件などを整理していますが、もっとスムーズな引き継ぎ方法などがあるといいなあと思います」

藤岡さんの「もやもや」ポイント

●「自分がいないと部署が回らない」状況で、どうやって育休を取ればいい?
●「男が育休取る必要があるの?」と、男性育休に理解がない人がいる

 管理職パパならではの「もやもや」はどうすれば解決できる?

育休を取ろうとすると、まだ「男性が取るの?」と言われる場合もあるが、自ら社内環境を変えるつもりで行動を(写真はイメージ)
育休を取ろうとすると、まだ「男性が取るの?」と言われる場合もあるが、自ら社内環境を変えるつもりで行動を(写真はイメージ)

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  • 逃げ腰にならず、育児しやすい環境を自ら取りにいこう

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