住宅購入は、人生において最も「大きな買い物」といっていいでしょう。晩婚・晩産化で、30代後半以降で親になるケースも少なくない今、「住宅資金」「子どもの教育資金」「老後資金」という3つのお金問題が重なってくるという人もいるかもしれません。また、コロナ禍で勤務スタイルが変化し、「持ち家を売って住み替えたい」という人もいるでしょう。首都圏では、特にマンション価格が高騰し続けており、買うタイミングを計りかねて様子見を続けている人も少なくありません。いつ、どこに、どう買えばいいのか……。共働き子育て世帯の「家の買い方」に迫ります。

安易な買い替えは禁物

 前回記事(コロナ下で子育て世代の「住みたい街」どう変化?)では、コロナ下で住まい選びの選択肢が広がっている現状について解説しました。2022年度版の『首都圏 住みたい街(駅)ランキング(夫婦+子ども世帯版)』では、子育て世帯に向けた行政サービスが充実している千葉県流山市の流山おおたかの森が大きく順位を上げて10位以内にランクインするなど、郊外都市の躍進が見られる中、共働き世帯の間で生じているのが、既に持っている家を売って、新たに自宅を購入する「買い替え」ニーズです。

 実際に自宅を買い替えたいと考えた場合、それはどのような手続きを経て実現するのでしょう? まず頭に浮かぶのは、今住んでいる家が本当に売れるのだろうかという懸念かもしれません。

 住宅事情に詳しいリクルートSUUMOリサーチセンター研究員の江原亜弥美さんは次のように話します。「マンションの場合、新築は短期間に多数の住戸が売り出されますが、中古は住み手の都合で売り出しタイミングが異なるため、一点ものになるケースもあります。つまり、多くの人から人気がある必要はなく、その家に良さを感じ、買いたいと思う人が一人いればいいのです。かつてその家を『よい』と思って購入した自分が既に1人いるのだから、管理状態に気遣って大切に手入れしてきたマンションであれば、値付けさえ失敗しなければ売れるのではないでしょうか。

 特に東京23区内に関してはまだまだ職住接近の流れが根強く、新築物件の供給が減っている上に価格が高騰しているという現状を背景に、中古マンションが検討されやすい環境にあります」

 住宅の買い替えに詳しいファイナンシャル・プランナーの久谷真理子さんも同様に、「新築住宅の価格高騰に引っ張られる形で、中古住宅も購入時期や場所によっては購入時の価格を上回るケースも少なくありません」と話します。

 だからと言って、安易な買い替えは禁物。現状のニーズに合わせた新しい家を購入する、というのは家族にとって楽しいプロジェクトである一方で、一歩間違えば、今の家が期待したような価格で売れなかったり、新しい家の購入がうまくいかなかったりして、家計が悪化したり、暮らしの満足度が落ちてしまったり、といったリスクも伴います。

 「住宅の買い替えを進める際、最も大事なのはしっかりとプランを練り慎重に進めること」と久谷さん。ここからは久谷さんに、失敗しない自宅の「買い替え」のポイントについて説明してもらいます。

この記事で読める内容

・分譲マンションで「買い替え特約」があれば、使うべき?
・「今の家に高い価格を期待し過ぎた」「安く売り過ぎた」……を防ぐためには?
・自宅を売買するなら、必ず知っておくべき制度とは?