住宅購入は、人生において最も「大きな買い物」といっていいでしょう。晩婚・晩産化で、30代後半以降で親になるケースも少なくない今、「住宅資金」「子どもの教育資金」「老後資金」という3つのお金問題が重なってくるという人もいるかもしれません。また、コロナ禍で勤務スタイルが変化し、「持ち家を売って住み替えたい」という人もいるでしょう。首都圏では、特にマンション価格が高騰し続けており、買うタイミングを計りかねて様子見を続けている人も少なくありません。いつ、どこに、どう買えばいいのか……。共働き子育て世帯の「家の買い方」に迫ります。

「2馬力」は強い。でも年齢が高ければ…

 「夫婦2人が大企業の正社員で、例えば30代前半までに、結婚して子どもも生まれて、35歳までに家を買って……というパターンでは、住宅ローンを組んだとしても、老後も現金・預金がなだらかな右肩上がりになるようなキャッシュフロー表が描けます」。そう話すのは、住まいのお金専門ファイナンシャルプランナーの有田美津子さんです。

 「夫婦2人が正社員として定年まで働き続ける場合は、2人分の収入が長期間継続するだけでなく、退職後の年金も2本、退職金も2人分あると想定できるのでとても強いわけです」

 一方、第1子を30代後半以降に産んだ場合で、かつ、住宅購入をこれから考えているケースでは、今の世帯年収が高いからといってそれに合わせて高過ぎる物件を選んでしまうと、あとで教育費が足りないなど家計が破綻してしまうかもしれない、と有田さんは指摘します。特に、私立の学校に進学する場合は、その分の学費を見込み、選ぶ物件の上限価格を厳しく見定めておく必要があると言います。

 今回の記事では、37歳で第1子、40歳で第2子を出産したAさん(46歳)のケースを一例に挙げながら、選ぶ物件の上限価格について考えていきます。夫婦共に定年まで正社員で働き、子ども2人を私立中・高・大に進学させる前提で、40代後半など通常よりも遅めのタイミングで共働き子育て世帯が住宅を購入する場合にどう資金計画を立てるべきか、そもそもいくらまでの物件なら買えるのか、有田さんに聞いていきます。

Aさん夫婦のプロフィール
ママ(46歳) 正社員 年収650万円
パパ(48歳) 正社員 年収700万円
家族構成:小3(9歳)、年長(6歳)
現況:東京都目黒区で賃貸マンションに暮らし、23区内で新築戸建てを中心に探している。いずれ子どもが独立したら家を売却してローンを完済し、夫婦2人で住めるような賃貸物件に移るという青写真を描いている。子ども2人は中学から私立進学を希望
Aさんの疑問

(1)40代後半での住宅購入。いくらの物件なら買える?
(2)住宅ローンを返しながら、子どもは私立中学にも行ける?
(3)戸建て希望だが、いずれ子どもが独立したら家は売ってローンを完済させたい。ならば今新築を買うべきか?

退職した時点で3000万円のローン残高

 購入物件の価格について考える上で、「年収の何倍までの物件ならOK」といった表現をよく耳にしますが、現在の世帯年収だけでなく、「夫婦の年齢」に大きく左右されると有田さんは言います。