男性育休の取得率は7%程度で、国が掲げる目標の13%にほど遠いのが実情です。政府は企業に男性育休の取得を勧奨する義務化を進め、22年から施行される見込みです。しかし、育休を取りたいけれど仕事に穴をあけたくないパパ、育休を取らせたいけど欠員補充がなくて悩むマネジャーなど、それぞれの立場ならではの悩みや課題はつきません。そうした課題を、先駆者や先進企業はどう乗り越えたのでしょうか。

 「欠員補充がされない中で、自分が休んだら周りに迷惑をかけるのではないか」「社長は育休を取るようにというが、現場の上司や同僚の意識とはギャップを感じる」。そんな気持ちで、育休取得をちゅうちょしているパパがいるかもしれません。

 育休取得が当たり前の先進企業では、企業風土として、男性育休が自然に受け入れられています。そこで、男性育休取得率が高いメルカリ、大日本印刷、積水ハウスの3社の事例を紹介。育休取得のハードルを乗り越えるための、企業やパパ本人の工夫について聞きました。

■ケース1:メルカリ 会社全体で「3つの不安」を解消

 People Experienceチームのマネジャーである望月達矢さんは、2017年12月に中途入社し、翌年6月の第1子誕生に合わせて1カ月の育休を取得。同社では平均して8割前後の男性社員が育休を取得しているといいます。「妻が里帰り出産し、戻ってくるタイミングに合わせて1カ月の育休を取得しました。弊社では、子どもが生まれることが分かったら、周りから当たり前のように『いつから、何カ月取りますか』と聞かれます。男女問わず、育休は子どもができたら当たり前に取得するものというカルチャーが根付いていると実感しました」(望月さん)

 望月さんは、育休に入る前に、どのように引き継ぎをしたのでしょうか。