男性育休の取得率は7%程度で、国が掲げる目標の13%にほど遠いのが実情です。政府は企業に男性育休の取得を勧奨する義務化を進め、22年から施行される見込みです。しかし、育休を取りたいけれど仕事に穴をあけたくないパパ、育休を取らせたいけど欠員補充がなくて悩むマネジャーなど、それぞれの立場ならではの悩みや課題はつきません。そうした課題を、先駆者や先進企業はどう乗り越えたのでしょうか。

 国は男性育休の取得率を13%にすることを目標に掲げていますが、先進的な取り組みを進めている企業では、取得率100%を達成しているところもあります。そのような先進企業では、どのようにして男性の育休取得を促進してきたのでしょうか。

 男性育休取得率が高い積水ハウス、メルカリ、大日本印刷、スープストックトーキョー、日本生命、大和証券グループ本社への取材を通して、男性育休の取得率が高い企業が実施している施策から見えてきた、8つのポイントを紹介します。

施策ポイント1
●「働き方改革」が進んでいる

 上記で挙げた男性育休の取得率が高い企業に共通して見られる特徴としては、平均残業時間が短く、有給休暇の取得率も高いといった、会社全体での「働き方改革」が成果を上げていることがあります。日ごろから長時間労働が常態化し「自分が休みを取ったら職場が回らない」というような状況では、男性育休の取得をサポートする施策がどれだけ整っていたとしても、男性が「育休を取りたい」という意思表明をするハードルは高くなりがちです。業務の見直しをして徹底的にムダを省き、オン・オフのメリハリをつけて働くことが推奨される風土が根付いている職場であれば、男性育休に対する周囲の理解やサポートも得られやすくなるといえます。

 そうした土台を整えたうえで実施している、残り7つの施策ポイントが男性育休取得率の底上げにつながっています。