コロナ下でオンラインコミュニケーションが主流となり、在宅勤務という新しい働き方で生活スタイルは一変。働く親の負担は増えるばかりです。子どもたちにも大きなストレスがかかっています。そこで本特集では、働き方の専門家や産業医などに取材。ストレスフリーに生きるため、仕事や親子・夫婦間の適切な「距離の取り方」を提案します。

コロナ下でうまくいく夫婦は何が違う?

 夫婦がお互いの行動を理解できない理由と、その対策を紹介した上編に引き続き、下編では、夫婦関係をよくするコミュニケーションのコツを聞いていきます。

 コロナ下、新たな生活スタイルになって、夫婦関係が「以前よりもうまくいっている」という人もいれば、悪くなったという人もいます。黒川さんによると、その差は「夫婦間のコミュニケーションの違い」によるものだといいます。

 例えば、パパが保育園のお迎えに行くことになっていたのに、直前に状況が変わり、「行けなくなった」と言われた場合。まったく同じこのシチュエーションで、その都度もめる夫婦もいれば、スムーズに交代できる夫婦もいます。


【スムーズに交代できる夫婦】

 黒川さんは、2パターンに分かれる理由を、次のように説明します。

 「『その都度もめる夫婦』は何が問題なのかというと、『自分視点で事実を伝えていること』だと思います。コミュニケーションには出来事にフォーカスして伝える『事実の通信線』と、自分や相手が感じている気持ちを伝える『心の通信線』があり、家庭でのコミュニケーションにおいては、『事実の通信線』をなるべく使わないで『心の通信線』を使うことが重要です

 ただし、夫婦間でストレスなくコミュニケーションを取るには、単に心の通信線を多用すればいいというわけではないのだそう。「コミュニケーションの習熟度には3つのレベルがあり、レベル3を実践することが大切」と語る黒川さんに、次のページから詳しくその内容を聞きました。