どんなに仕事が好きでも、親になると「子どもを優先すべきでは」というマインドが生まれます。すると、子育てや仕事がうまくいかないときにふと顔を出すのが「やめたい」という気持ちでしょう。でも、再就職の厳しさを考えれば、やめないほうが賢い選択かもしれません。せっかくなら「やめたい」気持ちを飲み込むのではなく、ポジティブな行動やマインドで乗り越えていきたいものですね。そこで今特集では「やめたい」原因を解決するために知っておきたい攻めの戦略を紹介します。

管理職ママの「やめたい衝動」はさまざま

 管理職に就くと、求められる役割や責任は増えるもの。子育て中だとなおさら負担が大きくなりがちです。どんなときに育児と管理職の両立に限界を感じ、「やめたい」という気持ちが顔を出すのでしょうか。

 小学生の子どもを2人育てながらIT企業でマネージャーを務めた経験がある、キャリアコンサルタントの山田真紀子さんは、「長時間労働とサービス残業」がやめたいと思う状況の1つだと言います。

 「私自身も、管理職になった後、長時間労働とサービス残業に悩まされ、何度もやめたいと心が折れそうになりました。特に、自分と部下の時間外労働を45時間以内に収めなければいけないという会社からのプレッシャーがストレスに。業務時間中は、チームメンバーが業務を円滑に進められるように試行錯誤したり、部下からの相談を受けたりするだけで時間が過ぎてしまいます。どうしてもすべての業務が時間内には終わらないので、クライアントに提出する資料の作成などの、担当者としての業務は定時以降の時間にならないと着手できず、時間外労働が常態化。また、365日営業のコンタクトセンター勤務のため、休日に受信した相談や報告のメールを翌出勤日に把握するのでは対応が間に合わず、休日はメールチェックをサービス残業としてこなすという習慣も定着していきました。

 このような状況が続いた結果、家族との時間も減り、子どもに対する罪悪感が日々増していきました。そして、何よりも、自分がゆっくり休める時間が減り、体力と気力が失われてつらかったですね」

 会社からの期待が自分の現状と合わないことも、管理職ママが仕事をやめたいと思う原因になりがちです。会社から過度な期待をされ、それに応えようと心身ともに無理をして疲弊し、このままでは働き続けることができないと考える人は少なくありません。また、管理職の中には人に仕事を振るのが苦手で、現場仕事と管理業務をすべて自分で抱え込んでしまう故に回らなくなるケースも。仕事がうまく回らない原因がすべて自分にあると自分を責めてしまい、すべて投げ出してしまいたいという衝動に駆られる人もいるでしょう。

 このように管理職をやめたい、とつらくなる理由はさまざま。しかし、壁を乗り越えられない理由は、必ずしも個人ではなく、会社にある場合もあるのだそう。山田さんがマネージャーの壁を乗り越えることができた要因は3つあると言います。

 本記事では、管理職に抜てきされたママが会社をやめたくなる原因について、構造的に解説。自衛策や壁の乗り越え方についても山田さんに詳しく聞いていきます。