どんなに仕事が好きでも、親になると「子どもを優先すべきでは」というマインドが生まれます。すると、子育てや仕事がうまくいかないときにふと顔を出すのが「やめたい」という気持ちでしょう。でも、再就職の厳しさを考えれば、やめないほうが賢い選択かもしれません。せっかくなら「やめたい」気持ちを飲み込むのではなく、ポジティブな行動やマインドで乗り越えていきたいものですね。そこで今特集では「やめたい」原因を解決するために知っておきたい攻めの戦略を紹介します。

 男性の育児休業取得率の向上を目指し、4月から「改正育児・介護休業法」が段階的に施行されるなど、男性が育児をする機運は高まっています。とはいえ、「男性の育児参画」に対する理解は、まだまだ職場によって温度差があるのが現実です。

 育児に積極的なパパは、ワーママと同様に仕事と育児の両立の難しさに直面することはあるでしょう。例えば、子どもが生まれるので育休を取りたいが、希望通りに取れる雰囲気が職場にない、育休取得はできても復帰後に働きづらい、育休を取ったり定時に帰ったりしていたら後輩に昇進を抜かれた――。そんなときに「もう仕事をやめたい」衝動が起きるかもしれません。

育児したい両立パパに「やめたい」衝動が起きる
「あるある」事例


◆育児を大事にする働き方をしたら後輩に昇進を抜かれた
◆育休を取りにくい雰囲気がある

 「男性育休コンサルタント」として、企業や自治体、育休取得者個人などを対象にして研修やコンサルティングなどを実施している育Qドットコム代表の広中秀俊さんに、こうした壁を乗り越えるために、パパが持っておきたいマインドや会社と交渉する際の戦略について具体的に聞いていきます。

男性の育児参画、「総論OK、各論NG」企業がまだまだ多い

 男性が育児に関わることへの職場の理解は、女性と比べると、まだまだ進んでいない、と広中さんは指摘します。「例えば、男性育休については、2020年度の取得率は12.65%。進んでいる大企業がある一方で、『第1号』が出るか出ないか、という段階の中小企業も多いです」

 理解が進んでいない職場では、育児に積極的なパパの抱えるモヤモヤは大きいとみられます。「私は、男性育休に関して何百人もの相談を受けています。育休を取りたい人たちなので、彼らは、男性が育児することに対して意識が高いです。育休取得を検討する際や取得後に、上司や職場の人たちとの意識の差が大きいと、仕事をやめたいと思ってしまったり、中には実際に仕事をやめて転職したりする人もいます。

 国の少子化対策や企業のイメージアップの観点から、『総論OK』だけど、自分の部署内でそういう男性社員が増えたら困るから『各論NG』という雰囲気の企業はまだまだあります。育休を取るなどして育児も大事にしながら働きたいと考えていても、代替要員の仕組みが社内にできていないなどの理由で、職場に迷惑をかけることになるから『申し訳ないから無理』という姿勢になってしまう現状も少なくないと考えられます」

 そうした世の中の現状を踏まえて、育児もしたいと考えるパパが「やめたい衝動」を乗り越えるためには、持っておきたいマインドがある、と広中さんはアドバイスします。

育児をすることで肩身の狭さを感じるパパが知っておきたいポイント

●「1人で直属の上司と交渉する」より「横から上から攻める」
●「育児も大事」な働き方で会社に貢献できる要素をプレゼンする
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