どんなに仕事が好きでも、親になると「子どもを優先すべきでは」というマインドが生まれます。すると、子育てや仕事がうまくいかないときにふと顔を出すのが「やめたい」という気持ちでしょう。でも、再就職の厳しさを考えれば、やめないほうが賢い選択かもしれません。せっかくなら「やめたい」気持ちを飲み込むのではなく、ポジティブな行動やマインドで乗り越えていきたいものですね。そこで今特集では「やめたい」原因を解決するために知っておきたい攻めの戦略を紹介します。

転職するにしても、いったんやめるにしても、将来を見据えた上で

 「今の働き方だと、育児と仕事の両立が難しい」と限界を感じ、子どもや家族に申し訳ないと「マミーギルト」を抱いたとき、「転職」や、一旦やめてからの「再就職」が頭をよぎる人は少なくないかもしれません。切羽詰まった状況でスタートする転職活動や、ブランクを経た後に始める再就職活動で失敗しがちなパターンは、視野が狭くなること

 「残業はできないけれど、とにかく正規雇用のフルタイムで、給料も現職(前職)の水準を維持したい」などと条件に固執したり、応募先の企業研究や自己分析が十分でなく、その会社で自分がやりたいことや貢献できることは何か、といった視点が不足したりしていると、うまくいかないかもしれません。仮に希望通りの条件で採用されたとしてもミスマッチが起きやすく、結局早期に退職に追い込まれたり、目指す方向にキャリアを築いたりしていくことができない、といったことが起こる可能性も。

 とはいえ、実際に両立生活が破綻しつつあり、「とにかく、いったん環境を変えたい」という切実な状況がある場合、どうしたらいいのでしょうか。

 女性向け人材サービスを手掛けるWarisで人材紹介を担当する八木澤寛子さんは、「一度仕事をトーンダウンしてでも、自分の状況に合った雇用形態で働ける職場に転職し、フル稼働できるような状況になってから再度キャリアのステップアップを狙うのが現実的ではないでしょうか。スモールステップでキャリアを積んでいけば、より大きな目標到達への道が開けるかもしれません」と提案します。

 完全に仕事をやめるのではなく、キャリアを細くとも続けることは、自分らしくいられる大事なポイントと話す八木澤さんに、将来的にキャリアを積むことを前提とした上手なキャリアのトーンダウンのさせ方や、再びキャリア路線に戻るためにすべきことなどについて聞きました。